27話 ページ29
その時、自分が何をしたのか、坂田は全てを理解し、思い出した。
「わぁ"ぁ"っ‼」
信じたくない、嫌だ。
何かの悪い夢、悪夢であってほしい。
1番したくなかった。
水穂の意思も聞いて、改めて許可を得てから吸血するつもりだった。
水穂を__それも契約前を襲うことなど…。
1番想像できなくて、最悪な出来事だ。
挙げ句の果てに、彼女が意識をなくすまで吸っていたなんて。
坂田の目から涙が溢れてきて床を濡らす。
「…坂田、後悔してるなら水穂のところへさっさと行ってこい。」
うらたは慰めの言葉も掛けず、坂田に冷たく言い放った。
「でもっ…俺は…」
「うじうじすんなや!」
センラは坂田の言い訳を、思いっきり頬を殴って止めた。
「好きなんやろ?愛してるんやないんか⁉」
はっ、と顔を上げて、坂田はセンラを見る。
「水穂は言ってたぞ。
『覚悟なんて、好きになったあの時からできてる』ってな。
…水穂は隣の部屋にさっき行ったぞ。」
「遅い遅い!」
真月が水穂の止血をしながら叫んだ。
部屋の中には甘い血の香りが広がっていた。
水穂は未だに目を開けず、出血が止まらない。
真月と居場所をバトンタッチして水穂の傷口を舐めた。
血は止まり、傷口も治る。
横抱きに水穂を抱き抱え、ベットの上に移動させて、その上に馬乗りした。
ガリ、と自分の舌を噛みちぎると、次に水穂の首筋に噛みついた。
「んグッ…ジュル…」
改めて感じる。
甘い。温かい。愛おしい。
ただ、それだけが身体を駆け巡る。
自分の身体に回る血が、じんわりと染みつく感覚が嬉しいような、もどかしいような、そんな何とも言えないものが込み上げてくる。
傷口を改めて治し、水穂の首筋を見れば、ぐるりと契約印が付いていた。
「俺だけの、
なんだか、この契約印が、自分の所有物だと宣言しているようだった。
「やっと、水穂のこと独り占めできる。」
たまらなくなって、額にキスを落とす。
そして、部屋を出て血だらけの隊服を着替えることにした。
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朧月天音(プロフ) - ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫))さん» ありがとうございます。最近界隈が騒がしい状態でルールを守らない方が一定数いらっしゃったので更新を止めて離れておりました。今日から少しずつ出していく予定です。心配すみませんでした( ՞ 💧ᴗ ̫ ᴗ՞) (8月14日 14時) (レス) id: b60a9fb89a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (6月21日 18時) (レス) @page37 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2021年1月14日 23時