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23話 ページ26

「あ…ぁ…」

ぐるぐると脳が回っているような、心地良いとは言い難い感覚がする。

沢山の記憶が蘇り整理が追いつかない。
約15年の記憶が、水穂の頭の中を駆け巡る。

しばらくして、落ち着いて深呼吸をすると紗奈に歩みよった。

「久しぶり。紗奈。」

咎める事はなかった。
紗奈は水穂のために記憶を封印したのだから。

「うん。久しぶり。」

その時ドアの開ける音が聞こえ、志麻が部屋から出てきた。

「なんやねん、あいつ…。
俺に腹パン食らわせやがって…」

ぶつぶつ呟きながら水穂に近寄る。

「今がチャンスやで。
さっきよりは落ち着いてきてるみたいやし。」

そう言ってすれ違い、またぶつぶつと何かを言いながら行ってしまった。

「坂田、怒ってないかな。」
「大丈夫じゃない?
あ、それ、変えなくちゃね。」

水穂の着てるドレスを、手を鳴らして紗奈と同じ隊服に変えた。

明らかに動きやすくなっている。

「ありがとう。」

紗奈は水穂の背中を押した。

「行ってきなよ。坂田が待ってるよ。」

水穂はドアに手を掛けて、思い切ってドアを開いた。



「待ってたぜ。水穂。」

肩で息をするうらたは水穂を捉えた。
強く引っ張っている鎖に繋がっているのは、目に光を失った大好きな人。

水穂を睨んで、唸り声を上げている姿は獲物を捉えた獣のようだった。

「坂田、久しぶり。」

水穂が優しく微笑みかけても坂田の態度は変わらない。

うらたは鎖を壁に付いているフックに付けて、水穂に近寄り、耳打ちをした。

「今の坂田は危険だ。
もう、後戻りは出来ないからな?」

その声は低く、明らかに水穂を威圧していた。

「覚悟なんて…。坂田を好きになったあの時からできてるよ。」

水穂はうらたのことは見ず、ずっと目の前にいる坂田だけを見ている。
その姿を見たうらたは鼻で笑い、部屋を後にした。

「がんばれよ…。水穂。」

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設定タグ:浦島坂田船 , となりの坂田,あほの坂田 , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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朧月天音(プロフ) - ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫))さん» ありがとうございます。最近界隈が騒がしい状態でルールを守らない方が一定数いらっしゃったので更新を止めて離れておりました。今日から少しずつ出していく予定です。心配すみませんでした( ՞ 💧ᴗ ̫ ᴗ՞) (8月14日 14時) (レス) id: b60a9fb89a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (6月21日 18時) (レス) @page37 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2021年1月14日 23時

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