17話 ページ20
悔しい、痛い、辛い、…
「水穂っ!」
坂田が目を覚ますとそこはいつも寝ている自分の布団だった。
飛び起きると、見覚えのある顔が振り返る。
「坂田お前どうした?」
「うらさん…!」
栗色の髪に翡翠の瞳、坂田の仲間であり親友のうらたがそこには居た。
うらたが一歩踏み出した瞬間、地を這うような低い唸り声が坂田の耳に入る。
音の元を辿ると居たのはあの時の狼だ。
寝ているベッドの下に狼は伏せていた首を上げ、うらたを睨み、牙を剥く。
あの牙で襲われたらひとたまりもないだろう。
「…さっきから
恨めしそうにうらたは狼を睨み返す。
「何でこの狼、俺のこと守るみたいになってるん?」
「あー、真月が言うには、水穂と仲が良かった狼で、水穂の匂いが付いている坂田は水穂の仲間だから守らなきゃいけないと思ってるらしい。」
真月というのはうらたの婚約者。
魔法使いでもある。
坂田は水穂という言葉を聞いた瞬間はっとする
「…水穂、水穂は!?」
「坂田落ち着け。」
ズキッ
背中に痛みが走り、視界がぐわん、とまた揺れた。
「
「ほらな?血も飲んでないんだろ?そんなボロボロの身体で水穂なんて助けられるわけない。」
いつもよりずっと治癒が遅く、痛みが長引く。
うらたは坂田を寝かせるとため息を1つ着いた。
「…そんな体じゃ、明日の夜決行予定の水穂救出作戦には参加できないと思うんだけど?」
「嫌や!」
また飛び起きようとした坂田をうらたは押さえる。
「坂田が参加するには条件がある。
俺と紗奈であらかじめ、さっき決めておいた。」
坂田は息を呑んだ。
「一つ目!
確実に無理はしないこと。
二つ目
死人は出さないこと。
三つ目
最低限、敵と対峙しないこと。
四つ目
血で武器は作らないこと。
五つ目
紗奈や俺の指示は絶対。
六つ目
水穂を見つけた場合、水穂救出が優先。敵は逃してもいいから後回しだ。
7つ目
坂田が暴走状態になった場合、作戦は中止にする。
これが最後だ。8つ目
作戦決行ギリギリまで献血しろ。」
「…は?」
1つ目から7つ目に言っていたことは分かるが、最後のは一体…
坂田はふと自分の腕を見た。
献血されている。
「安心しろ。人間の血にしてやったからな?
人工血じゃないだけ感謝しろよ?」
「最悪……。」
すると、急にかゆくなったり、体に力が入らなったり、身体中から拒絶反応が出てきた。
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朧月天音(プロフ) - ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫))さん» ありがとうございます。最近界隈が騒がしい状態でルールを守らない方が一定数いらっしゃったので更新を止めて離れておりました。今日から少しずつ出していく予定です。心配すみませんでした( ՞ 💧ᴗ ̫ ᴗ՞) (8月14日 14時) (レス) id: b60a9fb89a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (6月21日 18時) (レス) @page37 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2021年1月14日 23時