招集。 ページ7
それは突然のことだった。
本部にある部屋の扉を開けると中にはすでに数人の生徒の姿。
「あらぁ、ちーちゃん任務ぶりね!相変わらずの天使ちゃん」
そう言って瑠衣ちゃんが私に抱きついてくる。
「瑠衣ちゃん。今日もきれいだね」
「あらやだぁ!も〜颯のやつにも見習わせてあげたいわぁ」
と言いながら漫画を必死に読む颯の方を睨む瑠衣ちゃん。
なにか言われたんだろうなぁ…颯は、まぁバカな子だから。
八雲さんは既に椅子に座っていて、私は瑠衣ちゃんに連れられて中へと入る。
「あとはよーちゃんと…棗ね」
「…のばらはいいの?」
「のばらちゃんは今日任務でいないのよ〜」
のばら、任務中かぁ。
じゃあペルソナも留守ってわけね。
そんな中どうして瑠衣ちゃんは招集かけたんだろう。
「おっそいわねぇ2人とも」
瑠衣ちゃんが若干イライラし出して、少し経つとドアが開いた。
「棗!よーちゃん!遅いわよ!何してたわけ!」
瑠衣ちゃんの怒号など無視するように中へ入ってくる棗と目が、合う。
「…千華、何でここに」
それはもう目を見開いて、唖然とする彼と目が合う。
沈黙が流れる中、颯を抜いたその場の全員が注目してきた。
私は思わず瑠衣ちゃんの背後に隠れた。
棗の視線がグサグサ刺さる。
あの時の棗は大体めんどくさいのよね。
「もしかして、棗あんた今まで知らなかった、とか言わないわよね?」
「は?」
背後に隠れる私を見た後に、瑠衣ちゃんはまさかねぇ?と言いながら
バンバンと不機嫌オーラを漂わせる棗を見て固まった。
「ちょっと、何であんなに怒ってるのよ!?」
「わ、分かんない」
こそこそと話しているとグイっと襟元を引っ張られた。
「招集した理由はなんだよ」
首に腕を回されて身動きのできない私をよそに、棗は瑠衣ちゃんを睨む。
あ、陽一。
「ふーん、そういうこと?
ま、いいわ。気を取り直して…。
今回私があんた達を集めた理由は他でもない!」
バンと机に手をついて瑠衣は意気揚々と言う。
「のばらちゃんに彼氏はいるのかいないのか!
本人は言ってくれないから予想しましょう!の会、よ」
シーンとなる部屋。
「…帰っていいか」
棗は正直な感想を言う。
うん、私もつい棗の意見に頷いてしまった。
「あー」
と陽一に制服を引っ張られたから抱き上げる。
「ちょっと、無断で帰ることは許さないわよ」
瑠衣ちゃんがニコリを笑う。
帰ろうと背を向けた棗へ向けられるそれは負のオーラを漂わせていた。
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作者名：臨楽 | 作成日時：2020年11月6日 0時
