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挑発。 ページ32

「この学園から脱走してみろよ。幹部生になれる程のアリスがあるなら簡単だろ。
 この事を口外せず、無事そのあと戻ってきたら親父の手紙はお前にやるよ」



その蜜のような甘い誘い文句はきっと、棗の中にじわじわと染み渡っていっている。



返事をせずに、そのまま棗は歩き出した。


その後を追う流架と持ち上げ。


私はその後を追わずに中等部生の前で立ち止まる。


「…何だよ?」


「…初等部で幹部生…私もなんだけど。私には何か、言うことないのかしら」



やたらと棗ばかり目の敵にされているのが気に食わない。



初等部で幹部生なのは私だって同じ。



「…っ」



何も言わない彼に私は忠告する。



「人によって態度変えてると友人、減りますよ。"先輩"」



若干渋い表情をしてその人は足早にその場から離れた。


他の友人、も追いかけるように去っていく。




「…千華?」
「千華さん」


棗や流架、持ち上げが振り返りながら立ち止まっている。


「…今行く」


足早に合流して一緒に歩く。



「…何言ったんだ?あいつらに」

「…内緒」



そう言うと棗はそうかよ。と言って前を向く。








あのあと棗が向かった先は屋上。



柵の上に座って下の景色を眺める棗。



「…やめといた方がいいっすよ棗さん。
 あんなのあいつらデタラメ吹いてるだけだって」



持ち上げは心配からか必死に棗が脱走しないように止めている。



「…わかってる」



「あいつら棗さんにもっと不祥事起こさせて幹部生降ろさせるのが目印なんすよ」



「棗…」



「話が本当だとしても、手紙渡すようなヤバい真似、あいつらがするはずないですよ」



持ち上げの言葉は正論で、間違っていない。



無視するのが1番正しいことだって、きっと棗もわかってるんだと思う。



「…」



私はただ棗の背中を見つめていた。

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設定タグ:学園アリス , 日向棗 , 臨楽   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:臨楽 | 作成日時:2020年11月6日 0時

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