夏のあるひと時。 ページ27
中を覗くと調理室が青白く光っている。
その光の根源は冷蔵庫の方みたいで、ゆっくりと様子を確認しに行くとゆらりと壁に人影が写る。
「ひぃいいい!!」
委員長の悲鳴と声にならない悲鳴をあげるキツネ目。
「あ…アンナちゃん」
心読みがアンの名前を呼ぶと人影は更にゆらりと動いて
冷蔵庫の影から姿を現したのは
「あ、あれ…皆何してるの?」
何故かアンとその奥から顔を出してくるののの2人。
見知った顔に委員長とキツネ目がほっと息をついていた。
私や棗も若干驚いた。
2人がここにいることに。
食堂を出ながら2人はここにいた理由を話く。
どうやら以前タカハシさんに許可を得て、
アンが作ったお菓子を冷蔵庫に入れていたことを思い出して
2人で様子を見に行っていたらしい。
「保存が利くお菓子だから心配してなかったんだけど一応」
「それで私も付き添いで来てたの」
と2人は笑う。
「何だよ…驚かせやがって」
バタン。
「え…」
廊下を歩いていると明らかに扉が閉まった音がした。
部屋の扉の音ではなく、食堂や大広間、幼児クラスの大部屋にあるような
大きい扉が閉まるときの音によく似ている。
「き、気のせいだよ」
「えーでも皆聞こえたみたいだよ」
「俺聞こえたぜ」
「私も」
「うん、聞こえた」
皆立ち止まって顔を交互に見合わせ…
「と、とりあえずまだ行ってない大広間の方、行ってみよーぜ」
「う、うん…」
ゆっくりと大広間へと歩み寄り、扉の前までくる。
「じゃあ開けるねー」
心読みが扉に手をかけたとき。
ガチャ。
突然扉が開いて、中から顔の白い人物が現れた。
『で、出たああああ!!!』
キツネ目と心読みは走り出した。
ののとアンはその場でしゃがみこみ、
委員長は魂が口から抜け駆けている。
『…』
取り残された私たちはただ呆然と立ち尽くしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：臨楽 | 作成日時：2020年11月6日 0時
