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犬猿の仲。 ページ3

部屋でくつろいでいると、ドアが開く音がした。

「…棗?」

若干疲れたような表情で棗が部屋に入ってくる。

昨日の夜中、棗の部屋の方から扉が閉まる音がしたから、

任務疲れしているのかもしれない。

何も言葉を交わさないまま、棗はベッドに倒れこむ。

…自分の部屋のように。

「…流架はどうしたの?」

「……、動物」

動物、あー飼育小屋。

前、3人で歩いていた時、動物を飼育する小屋を見つけてから、

流架は度々人目を盗んで"会いに行っている"。

私達にも内緒で行くこともある。

彼曰く、動物フェロモンを使っている時の自分はあまり見られたくない、らしい。



「棗はなんでここに?」

「…暇」

棗は仰向けのまま、傍に来た雪に触れる。

暇って、別に部屋で漫画読んでたらいいのに、ゲームだってあるんだし。

棗の部屋の方が暇潰しできるだろうになんで私の部屋に来た…。

「…そう」



しばらく2人でくつろいでいると、扉の方からノックの音がする。

「千華。私だけどいるかしら」

扉の向こうから聞こえてきたのは蛍の声。

ドアを開けると蛍の姿が。

「…お邪魔だったかしら」

部屋の奥にいる棗を見つめる蛍。

棗は軽く上体を起こしながらじーっと蛍を見ている。

いや、ここで始めないで欲しい。

「どうしたの、蛍」

「発明品、持ってきたの。前千華が言ってた」

「あぁ、作ってくれたの」

確かによく見ると蛍の腕の中に発明品があった。

「入るわね」

そう言って蛍は部屋の中へと入ってく。

ここに来る人、自分勝手なのが多いな…一応ここ私の部屋なのに。

ドアを閉めて中に戻ると2人は早速無言で見つめ合っていた。

「棗、暇だろうし、部屋に戻りなよ。多分流架も戻ってくる頃だから」

暇つぶしの相手、してもらいな。と言うと棗は若干ムッとしたような表情を見せて歩き出す。

部屋を出るとき、一瞬だけこっちを見て、今度は明らかに不機嫌になって出ていった。

ドアは丁重に扱っていただきたい。前科があるんだから。

「…何だったの」

「さぁ?」

蛍は淡々と答えて、発明品の説明を始める。

外の景色を空中に映し出すそれはとても興味深い。

いろんなモードがあるらしくて、部屋を暗くするとプラネタリウムのようになる。

実際にそこにいるようにも思わせるそれは、委員長の幻覚で疑似体験する時と似ていた。



そして私は今回も気づくことはなかった。

部屋を出る棗に対して蛍が勝ち誇ったように嘲笑ったのも

それで棗がキレていたことも。

雑談。→←犬猿の仲。



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設定タグ:学園アリス , 日向棗 , 臨楽   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:臨楽 | 作成日時:2020年11月6日 0時

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