雨の日。 ページ18
新たな戦いが再発しそうな雰囲気を眺めていると、棗の視線を感じる。
「…」
「…帰るぞ、千華」
そう言って棗は私の手を掴んで歩き出す。
持ち上げも着いて来た。
「…千華、風邪引くよ」
流架が心配そうに声をかけてきたから、私は大丈夫だと返す。
「何が大丈夫だ、つめてぇぞ」
棗は呆れ半分に言ってきた。
後ろからすみません…。と持ち上げが謝ってくるから、気にしないでと声をかけたが、
本人はかなり落ち込んでいた。
っていうか蛍の鞄持ってきたままだけど大丈夫なのだろうか。
しばらくして持ち上げが蛍の鞄を持っていることを思い出して、そのまま引き返していった。
やっぱり忘れていたんだ…。
雨に濡れて肌に吸い付くように密着した制服が気持ち悪い。
上着だけでも脱ごうとしていると、棗に止められた。
流架も若干顔が赤くなっているように見える。
「…雨吸って重いのよ」
「…我慢しろ」
「うん、我慢して」
2人に厳しく咎められ、結局私は重い制服を纏ったまま歩く。
「…雨嫌いは治ったか?」
と突然棗に聞かれる。
流架も私を見つめてくる。
「…少しだけ」
さっきのことを思い出して、私はちょっと口元が緩むのを感じた。
2人は互いに顔を見合わせたあと、小さく笑みをこぼした。
寮につくと、タカハシさんから怒られたけど、
私と棗と流架が着替えたあとに食堂へ向かっていると、
玄関先でさっき帰ってきたらしい蛍達がさらに怒られていた。
私達が立ち去ったあと。
置いて行かれたメンバーは何だったんだ…。とその場に立ち尽くしていたらしいけど
キツネ目が正田にまた懲りずに水を投げたことから
戦いは再び繰り広げられたらしい。
その後、じんじんに見つかって、お叱りを受けたと次の日正田が教えてくれた。
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作者名：臨楽 | 作成日時：2020年11月6日 0時
