嫉妬。 ページ12
「棗?…と皆、何してるの?」
北の森でサボってからずっと眠っていたらしい翼を見つけて、話していた私は
突然現れた絶賛不機嫌ですといったオーラを漂わせている棗と
その背後で草むらから身を乗り出している正田含む数名と
心配して見ている流架と
いつの間に現れたのか、私の横に立って見つめてくる蛍に気づいた。
「えっと、どういう状況?」
翼は突然の状況に戸惑いを見せる。
大丈夫、私も充分戸惑ってるよ翼。
『…』
黙って圧をかけてくる2人に翼は思わず後退している。
「え、えっと…どちら様で?千華、お前の知り合いか?」
ピクッと2人が反応したかと思うと
「千華は俺の親友だ」
「私は千華の親友よ」
と表情を変えずに言う2人は隣から聞こえてきた声に反応して互いの顔を無言で見つめる。
「親友?千華、知らねぇ間に」
驚いた様子の翼に私は何も言い返せない。
そんなに嬉しそうな表情しないで欲しい、反応に困るから。
どう返そうか困っていると、棗が翼をジトーと見つめて問いただす。
「てめー、千華の何なんだ」
「は?千華の何って言われてもなぁ…」
ちらりと私を一瞥したかと思うと翼は私を抱き寄せてにやりと笑った。
「特別な関係、だな」
その瞬間、棗と蛍がぴしっと固まったのを見逃さなかった。
翼を見ると顔におもしれーと書いてあるのが見える。
完全に2人の反応見て面白がってる。
ニヤニヤと翼が楽しんでいるのも束の間、不穏な雰囲気を漂わせた棗が近づいてきて
翼の足を蹴った。
痛みで蹲る翼から棗に回収された私は
これまた不穏な雰囲気を漂わせる蛍に発明品で撃たれる翼を見つめる。
そして終いには棗のアリスで前髪をチリチリにされていた。
委員長と流架がそれぞれ2人を止めて、やっと翼への攻撃は終わった。
「なるほどな、お前が日向棗でこっちが乃木流架か。
お前らのことは千華から聞いてるぜ」
ひと段落して、ボロボロになった翼に棗達を紹介する。
どうやら昼休みの後、私の彼氏探しをしていたら私を見かけて、今に至るということらしい。
さっきまで棗の取り巻きと正田もいたけど。と言うと
何やら怒った正田に追い掛け回されてどっか行ってしまったと委員長が教えてくれた。
迷子になってないといいけど。
「千華と仲いいんだってな」
何故か棗は蛍にドヤ顔をしている、その隣で流架は慌てるような素振りをしていた。
何してるんだ…。
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作者名:臨楽 | 作成日時:2020年11月6日 0時