『学園アリス』私と雪と赤い彼。-出会い編- (ページ17)

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噂。ページ17

こういう時何かと判断するのはいつも私だった。

この学園にずっといるからなのか、他に皆がそうする何かがあるのかは分からない。

ただ、今は彼らのパートナーは私で世話を任されているのは事実。

こんなの普段ならナルやじんじんに丸投げしてるけど、今回だけパートナーのよしみって事で。

「…こんなくだらない噂。信じる程でもないわね。
棗が本当にここに来る前、人を殺した事があるなら普通にこの学園に通わせたりする?」

背後では正田がそうよそうよ!とか何か言ってるけど今回は心読みに任せて無視。

「確かに問題児だし近寄りがたいけど、この件本当か本当じゃないか知ってるのは彼だけ。
周囲が何言ったって意味ないでしょ。時間の無駄よ。
第一ここに来る前にそんな事件犯してたらこの学園が何かしら対策はしてるはず。
そうやすやすと生徒の耳に入るものかしら?…私は棗が人を殺していないと思うけど」

「そうですよね!」
「千華さんがそう言うんだ、お前らもデマだって認めろ」

私が言い切ると噂を信じていなかった生徒たち(主に棗達の取り巻きの子達)が口々に言う。

それでもまだデマだと信じきれない生徒はちらほらといる。

当事者ではない人がどんなに他人の潔白を主張したって限界があるのも事実。

「…さっきの流架の態度を見ても分かるはずよ。嫌じゃない?
自分の親しい友人がそんな根も葉もない噂こじつけられて騒ぎ立てられて
疑われてるのを傍で見てるだけなのは。
あなた達も少し冷静になることね。正しいかわからない噂なんかに惑わされちゃだめ。
棗と流架が戻ってきたらちゃんと謝る事。
今回は棗の事を少しでも疑った私達が悪いわ」

そこまで言うと流石に噂の真意がどうかというよりも
自分がした事の罪悪感が先走るようで、生徒達はそれぞれ顔を見合わせた。

「あなたたち!この噂はデマ!!棗君がそんなことするわけないんだから!」

正田のまくし立てのおかげで生徒達は徐々にそうだよね…。と納得する。

『パーマさっきから同じようなことしか言ってない』

「あんた達うるさいわよ!」

いつものように正田は心読みとキツネ目に怒鳴っている。

その光景をきっかけに他の生徒達も落ち着きを取り戻したようだった。

「もうすぐ先生来ちゃう…。棗君達遅刻しちゃうよ」

ほっとしたのも束の間、委員長が心配そうに呟く。

「…ナルに伝えておいて」

「え。あ、うん!分かった」

委員長は察したように頷いた。