となりあい【紫】 (ページ11)

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隣の部屋に濱田さんが増えて、もう三週間が経つ。

毎朝駅まで一緒に行って、
時間が被った日は駅から一緒に帰って。

それももう、当たり前のことになっている。

望｢なあ、次の休みにさ｣

A｢次の休みって、え、今週の土曜？｣

望｢おん、バイトもないやろ？｣

A｢ないけど｣

望｢付き合ってほしいとこあんねんけど｣

望と一緒にいるのも当たり前のこと。

こんな高身長イケメンと歩いてると、高確率で女の子にも睨まれるけど、それも気付いたら当たり前になっていた。

A｢昼間なら｣

望｢夜なんかあんの？｣

A｢濱田さんちでな、淳太くんも一緒に三人でご飯食べることになってん！｣

望｢濱田さんちて、隣やん｣

そう、あの時の約束が、今週いよいよ実現する。

淳太くんに久しぶりに会えるのも嬉しいし、
濱田さんとの距離を縮められるかもしれない。

隣の部屋なのに、朝と夜一緒に歩いているのに
年の差のせいか、どこか距離を感じていた。

だから、これをきっかけに
もう少し近づけたら、嬉しい。

望｢夜まで連れ回そう思ったのに｣

A｢じゃあ別の日にする？｣

望｢いや、今回は今回で、また今度夜まで連れ回すわ｣

A｢何やねんそれ(笑)じゃあ土曜な｣

濱田さんが来てから、何となく毎日が楽しくて、
いつもと同じ景色ですら、キラキラして見えた。

大きな木を包む緑色が、
風で楽しそうに揺れていた。

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