【d!】あの夏より【rbr】 (ページ4)

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3.言葉無くともページ4

＊

カラン、コロン。
履き慣れない下駄を鳴らしながら、
狭い歩幅で階段を上る。

階段と本殿を照らすのは提灯だけで薄暗い。

辺りを見渡してロボロさんを探す。
やっぱりこの場所はどの時間になっても人はいなかった。

探しても見つからない。
今日はいないのかもしれないと、残念に思う。

階段を降りようとしたところで肩を叩かれて、
振り返ると思ったよりも至近距離にロボロさんがいた。
ちょっと驚いて後ろに転びそうになったところ、
腕を引かれる。
その拍子で彼の胸に飛び込んでしまった。

「す、すみませっ」

咄嗟に離れようとするも、引かれた腕は掴まれたまま。
ロボロさんは何も言わずに、
私の背中に腕を回して優しく抱きしめる。

こんなこと今までなかったのに。
頭の中が真っ白になって、
離れようとしていた動きを止めた。

止めたことで
嫌でも自分の心臓の動きがはやいのがわかる。
でもだんだんと緊張から違う感情になって、
何も言うことなく私もロボロさんの背中に腕を回した。

なんとなく、
抱きしめ返さないと
このまま消えてしまいそうだったから。

＊