【ジン】気味が悪いから囲わないで。【名探偵コナン】

第２８話 ページ30

しっかりと片付けをしたあと、俺は溜まりに溜めたその言葉を大声で吐いた。



「っっジンが４年間もパルフェタムールに片思いしてただと？！」





妙にすっきりしたなと思っていれば、ヒロは「ああ」と笑った。





「ジンがなんつーか、世話係？兼上司になって…いやぁ、俺も聞いたときはびっくりしたな」





懐かしい、と腕を組んで過去に入り浸るヒロ。そんな話、聞いたことない。

どうやらその１年後に「ジンパル」という単語ができ、そのまた１年後に「ジンパル見守り隊」ができ、そのまたまた１年後に二人が付き合い始めたことから見守り隊へ入る奴らが急激に増えたらしい。…って、そんなことは聞いてない。





「ジンって……もしかして、純情なのか？」





そのちいさな言葉は、しっかりと向かい側に座るヒロには聞こえていたらしく、爆笑された。
ギャハハ、と腹を抱えて笑うヒロ。そんなに可笑しかったのか…いや、可笑しいどころじゃないか。

そりゃああの冷酷で血も涙もない組織の幹部が４年間も年下が過ぎる女を世話しながら好きで居続ける…そんなラブコメ存在されてたまるか。

そしてそれを最近幹部になったばかりの新人に真顔で呟かれる始末。




「ひぃ、ひ…ふぅ…。ゼロ、お前そういう事言うんじゃねえよ…っふは、あははッ」




…これはしばらく収まりそうにないな。



．





その数分後、やっと収まったヒロは目尻に涙を溜めていた。





「そういや、パルがここに来るときは必ず幹部揃うんだよな」





どうしたいきなり。と思ったのは置いといて、顎に手を当てて考えるヒロに「そうなのか？」と返してみる。





「なんだ、幹部ほとんどがやっぱあの隊に入ってるだろ？だから幹部みんなして心を潤そうとしたり、新人とか下っ端までパルをひと目見ようとアジトに来るくらいだからな。…あ、そうだ。こんな話があるんだ」





あのな、といきいきと話すヒロ。本当にパルフェタムールが好きなんだなと思った。





「ある時、パルのやついきなり『はっ……私ジン離れしなきゃ…！』とかってなんかの雑誌見ながら言い出したんだよ。」







．

第２９話→←第２７話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す