travel 2 ページ6
しかし、途中で酔っ払いの中年の男性複数人に絡まれてしまった。しかも絡んできた全員がガタイのいい人達ばかりで、とてもじゃないが抜けだせるような状態ではない。
「おい、そこのガキと嬢ちゃん。ちょいと俺等に酒をついでくれよ」
「なぁ？いいだろ？」
「別に酒を飲めっていってるんじゃあないんだ」
「そうそう。だから、そのガキにも手伝えるだろ？」
「ほらほら、どうした？返事をしてくれよ」
アル達が何か言う前に次々とそういう男たちに彼らは言った。
「あ？悪いな、あたしらはもうここから出て行くんだ。邪魔はしないでもらえるか？」
「それに、僕らは急いでるんだ」
「それから、ボクにはお前らが…この2人にあれこれしようとしてる姿しか、想像ができないんだけど？」
そう、きっぱりと断る。最後のアルが言った言葉は完全に挑発にすぎないが。しかし、その挑発に乗った男たちは無理矢理にでも2人を連れて行こうと襲いかかってきたのだ。しかし、ベルはステッキで、リオはパンチで、アルはラナを抱えたまま飛び上がって両足で、それぞれの顔面を思い切り殴った(蹴った)のだ。ほぼ同時に5つのゴン、ガン、という音が響く。その音がしてから遅れて男たち全員が床に崩れ落ちる音もした。周りの客はそれを見て、この4人には手を出さない方がいいな、と思うのだった。
「あっけないな〜…もっと手ごたえないのかよ…」
「あったら面倒だろーが、傭兵さん」
「あはは…たしかに。酔っ払いは結構質悪かったりするし…ね？」
「アル兄いきなり飛びあがらないでよ！バカ!!」
「っ…こら、耳元で大声出すなっての…」
4人はそんな他愛もない話をしながら酒場を出て、部屋をとってある宿屋に向かった。
・・・
宿屋に着いた4人は一緒の部屋に案内され、部屋でくつろいでいた。アルに抱かれていたラナはいつの間にか寝てしまったらしく、アルが文句を言いながら寝かせて、それから同じベッドに腰掛けている。ベルは自分が寝る予定のベッドに大の字になって転がっており、ぼっーっとしているようだ。リオも自分のべッドにいるが、座っているだけで寝てはいない。
「で、この町にいるのか？例のまっ黒けだっていう心の持ち主は」
「さぁ？また明日嬢ちゃんに聞かないと分かんないよ」
「ま、仕方ないね。僕らは何も見えないし…それにどうやらここにはラナちゃんを狙う人達もいたみたいだし？」
「だなよなぁ…あ〜……面倒な事になりそうだ」
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
