【名前固定オリジナル】とある4人組のお話 (ページ49)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:13,301 hit

travel 45 ページ49

だからこそ、敢えて聞いた。

「おい、アル。お前、さっきから“何を抑えてる”？その堕神か？」

と。すると、アルの左側の髪飾りからバチッという音と共に小さい、けれど黒く、禍々しい雷が走った。そして同時に、アルは頭を抱えて膝をついてしまう。

「ぐっ…！こんの、大人しく…しとけ！ここの闇、食ったところで…まだまだ、俺の身体は奪えねぇよ…！」

―小僧ガ、甘ク見ルナ。我ハ、神ナノダゾ？貴様ノ身体ナドトックニ奪エルニ決マッテオロウガ

「「「!?」」」

堕神の言葉がアル以外にも聞こえたのだろう。全員がアルを見た。だが、彼は。

「だから、どうした。お前こそ…俺、をナメてんじゃ…ねぇよ！」

アルは立ち上がる。武器を杖代わりにしてでも。そして言い放った。

「あ”ー…面倒(めんどー)だな、ここでこの街の闇ごと、食っちまえよ。その上で俺の、身体…奪えるもんなら、やってみろよ！他人から、他から奪った力で出来るんならな！」

「ちょっ！何言ってんの！アル兄！今でもそんな苦しそうなのに！」

「アル君、流石にそれは…！」

「おい、そんな事言うな。そんな状態で！」

「は…やめ、ろよ…？“また”繰り返す、気か！」

全員がやめろ、と止める中アルは無視して集中した。そして左手を前に突き出して言った。

「集え、闇よ。我が身に宿る堕神の下に！」

まるで、その呪文を言う時の声は堕神と重なってるかのようで。そして呪文を唱えたアルの両手に闇が集まっていく。それを見たアルは片手を後ろに、本を手に

「魔道書、3796ページ！完全防御(パーフェクトガード)！」

と、ページを開かずに本に記された魔法を詠唱破棄で発動させたのだ。ベル達はそれによって半球体の中に閉じ込められる。誰も反応ができない中、ドンドン闇は集まっていく。その規模は増すかと思われたが、その闇が封印具だという、彼の左手の髪飾りに吸い込まれていく。どうやら一定以上の闇が集まれば勝手に吸い込まれていく仕組みのようだ。

「アル兄…」

「勘弁してよ…君が持ってんのって…「魔道書」じゃないか…「魔本」じゃ、ないじゃんか…」

「おい、アイツの目って…赤黒だったか？」

「いや、あいつの目は青だ。アイツ、飲み込まれかけてんぞ…！」

ベルは珍しく怖がり、ラナを抱えたまま、座り込んでしまった。リオはアルの目の色が違うことに気づく。そして、その問いに先程とは違う雰囲気のパールスワルトが、答えた。