travel 39 ページ43
「ちょっアル君!?」
「っ、おい…大丈夫かよ!?」
「きゃっ…！」
「わ、るい…だい、丈夫だ。こりゃ、街全体に何か気配察知みたいなの、妨げるモノでも…掛かってるみたいだね…まぁ、その前にこんな場所だと…コイツが――」
アルの言葉は最後まで聞くことは叶わなかった。何故なら、彼が膝をついたからだ。
「「「!!」」」
間近でアルを見るラナは彼の顔色が悪く、今にも倒れそうな事と、目は見えないが歯を食いしばっているのがみえた。だから、何とかしようとしたのだがベルに抱えられ上げ、何も出来なかった。そして身軽になったアルの右腕を自身の肩にかけて立ち上がらそうとした。だが、できなかった。武器もあるから、と少し強めに力を入れたのだが、地面に引っ張られるように重く、よろけてしまったのだ。
「おわっ…！」
「え…リオ!?」
「あ”ー…悪いな、よっと…」
そう言うなり、アルは立ち上がる。もちろん、リオに肩を貸してもらって、だが。アルは自身の身体に起きた異変を何となく理解した。気配察知をしたために何らかの魔法の効果を受けてしまったのだろう、と。自身に宿る堕神の影響もあるかもしれないがそうであったなら、恐らく場所だけに気絶するような頭痛があるはずだからである。その上、視界も歪み、吐き気を促す程のものになるのもあるのだ。それが無いのであれば。
―きっとこの、心臓が疼いて頭がクラクラするのは妨害系の魔法のせいだろ…まぁ、コイツが黙ってなさそうだしな…こりゃここじゃ俺はお荷物だな…
そう考えながら、歩く。が、だんだんと視界が霞んでくるのがわかる。だからアルは目を瞑った。今ならリオが肩を貸してくれてるため、転んだり何処かにぶつかる、という事はほぼないからだ。
「やれやれ、困ったね…宿屋らしきものが見当たらない」
「アル兄、いつもの？」
「いや、違うよ。コレは魔法…多分妨害系のやつかな？そーゆー系統のだから、死ぬ事はない。まぁ、身体が言う事聞いてくれなくて、困るってだけだからそんな心配はいらない」
「へぇ〜、我らが城主の魔法に掛かってなお意識があるのか？それだけじゃないな、自力で立てるのか！こいつァいいヤツだな」
「誰だ？というか、魔法を解いてほしいんだが。コイツのフラフラしてる姿なんか見たくないんだよ、こちとら」
いきなり、紫に一部が黒のクセ毛の男が現れた。
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
