【名前固定オリジナル】とある4人組のお話 (ページ39)

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travel 35 ページ39

恐らくリオの精神(こころ)は壊れてしまうだろう、と。だが、そこまでだ。そこまで分かっていても事実でも何でもない、ましてや、あり得ない可能性なのだ。だから、アルは断言できない。お前の師匠は自分の宿しているこの堕神を崇める集団、闇夜の剣(テネノクスセイフ)の一員ではないか、ということを。そして仮にその可能性がありえて、現段階でソレが断言できる状態だったとして。それでも、彼は彼女に言うことはできないだろう。彼女の心が壊れると分かっているから。だから、今はとりあえず彼女が何が原因でその師匠を盲目的に慕うのかという理由を探ることにした。

・・・

「ほらほら、今日は避けるのはナシで相手してやるから、てめぇだって本気で来いよ」

「あぁぁああぁあ!!!」

適度な場所に移動した2人。そしてその場所に着くなり挑発するアル。普段の彼を知る者が見ればきっと口をそろえて「二重人格か？」と言うだろう。そう、言われかねないほど今の彼は普段の性格とはかけ離れているのである。彼の素顔を一行の中で一番理解しているベルでさえもきっと、君はどれだけ“仮面”を持っているんだい？と問うだろう程に、彼の性格は一変していた。

「そんな蹴り、俺には効かないぜ？」

敢えてそんな言葉で煽りつつ、容赦なく頭を狙って横に飛んできたリオの右足を左腕を使ってガードする。当然、ガッ!!という堅い者同士が――特に人体同士がぶつかるときによく出るだろう音がする。しかし、アルは顔色を変えず、表情もニヤリと嗤ったまま。音はそんなにしていなくとも、相当な強さの蹴りだったはずだ。その事にリオはすぐさま踵落としをする。が、それも腕を交差し受け止められてしまう。その時の音も相当にエグイ音だった上に、彼の右腕の手首のあたりからは彼女のブーツで切っただろう傷が出来ており、一筋の赤い線が流れる。しかし、そうなっても一切表情に変化が見られない。その事に流石のリオも疑問に思ったらしく、問いかけた。

「……貴様は、痛みを感じないのか？」

と。だが、アルは、表情を変えぬままだ。