travel 33 ページ37
その雰囲気の違いを感じ取った3人は、彼女にこんな一面があるのだと知れて、少し嬉しく思っていたのだが、それはリオ自身は知ることはなかった。
「じゃあそのペンダントってその剣の師匠に貰ったのか？」
「ん？あぁ、そうだ。なんか、お前ならきっとコレを使いこなせるだの、合う奴を見つけれるだの言って、別れ際に渡してきたんだ」
「へぇ〜…だったらソレは何かしら力を秘めてるんだね。何も感じない所を見ると、封印石とかかな？」
「だと思うけど、わからん。今までコイツか反応示したことなんてなかったからな」
アルはベルの質問に答えたリオの言葉に何か思うところがあったのか、彼にしては珍しく考えてこんでいた。それに気付いたラナは声を掛ける。
「アル兄？どうしたの？むずかしい顔、してるよ？」
「あ？あー…いや、ちょっとあり得ない可能性が浮かんだから我ながら何考えてんだって思ってな」
「あり得ない可能性？」
「あぁ。万が一でもその可能性とやらがありなら、俺はちぃとばかし……」
息を吸い、そこで言葉を切るアル。顔はいつの間にかうつむいていて表情をうかがうことはできない。だが雰囲気から、何かを決心したような、迷っているようなモノだとわかる。そして、リオは何故かその次の言葉を聞きたくない、聞いてはならない、と思った。だが、ここで立ち上がるわけにも制止するわけにもいかず、耳を傾けることにした。
「アル君？」
「その、“リオ”の師匠とやらをぶん殴らなきゃなんねぇ。んで、そんときはきっとアンタも止めるだろうから、ぶつかることになんだろうし…出来りゃあそんな事はしたくはねぇんだけど…」
「「「!?/え？/……は？」」」
そんなアルの言葉に3人は。リオは呆け、ベルは目を見開き、ラナは意味が分からず聞き返すという始末だった。アルもまたそんな3人の反応は予想済みだったらしく
「言ったろ、一番あり得ない可能性だって」
なんて言うが、それでもリオは何か思うところがあったらしい。立ち上がってアルの目の前まで来ると、拳を震わせながら言う。
「……おい、飾り。もういっぺん言ってみろ。誰を殴らないといけなくなるだって？」
それも、かなり低い声で男と思うほどだ。元から女性にしては低い声だったから、それも手伝っているのだろう。そして、そう言われた当の本人はと言うと。
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
