travel 31 ページ35
・・・
次の日の朝。アル達はホーセリアをあとにしていた。ラナによると次はこのホーセリアから北にあるファランという、あまりいい噂を聞かない街らしい。其処は民家よりも少し大きいという程度の城があるが、その城の城主がよくあるテンプレな、我の命令に逆らう者は即刻打ち首もしくは投獄で、その上、重い税を取るという暴君な輩らしい。それを聞いたアル達は
「それ、貴族とかいるならそいつらだけ私腹を肥やしてるやつだな」
「あー…んで、なぁーんにも出来ない愚図野郎どもが、指導者なりなんなり人の上に立ってんだろ？」
「それで、貧しい人達は明日も生きれるかすらわからず人権自体、何１つ保証されてないってやつだねぇ…」
「そんなところ、まだあったんだね…」
溜息をつきながらそう言う。実際、本当にそうなっているから、どうしようもない。加えて、そのファランの城主とは丸っきり正反対の権力者のいる町とは、離れているのもあってこの街は改善が見込めないのだ。
「俺、今回はフツーに武器使うわ。なんか、嫌な予感しまくりでさ…」
「僕も魔法使えるの、隠しておくよ…まぁ、いざとなればマジック道具全部使っでなんとか凌ぐし…」
「あたしはまぁいつも通りだな。まぁ、今回ばかりはヤバくなったら大剣使うわ」
「わたしは万が一のときは、攻げきの方も使うね」
「んで、俺が抱えとく。それから、その気の強い性格やめとけ。かと言って、ビクビクすんのもなー…まぁ、あんまり強く出すぎると目をつけられかねないからな」
「わ、わかった…」
そんなことを話しながら、野営できる場所を探しつつ歩きだしたアル達だった。それを上空から、一頭の黒いドラゴンが見ていたのを誰も気づかず――
ゾクッ
ベルは何故か背中に視線を感じたのだ。それも、恐怖感を植え付けるような類いの視線。ソレを感じたベルは思わず空を見上げた。が、そこには何もなく、ただ青空の中にポツポツと白い雲が浮かんでいるだけである。
―かなり、危ない街なのかもしれないね。
否、1人だけ、その視線に気付いた。
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
