travel 30 ページ34
アルのトンデモ発言に2人は驚いて聞き返す。なにしろ、「この先どこかで絶対一回は倒れる」なんて言われたのだ。驚くなと言う方が無理だ。
「堕神の野郎が気まぐれに俺に干渉してきやがるからさ、それが下手すりゃあ意識がぶっ飛ぶモンだってこと。大丈夫、毎日とかじゃねぇから」
「……じゃあ、前夜にお前が頭押さえてうつむいてたのって」
「…見られてたのかよ……まぁいいや。そう、それだよ。もう“慣れた”から大抵はフツーにいてぇ、で終わる。まぁフラフラしてってけど。酷くなきゃあ早々ぶっ倒れるこたぁねぇよ」
「そうだったんだ。たまに頭押さえてるときあったから、頭でも痛いのかな、大丈夫かな〜とは思ってたけど、頭痛持ちだからじゃなくて、堕神のせいだったのか」
「そう。あとは特定の場所に行くと、コイツの力が増すみたいで、それでなるときもある。まぁその特定のってのがあんまよくわかんねぇんだけど」
アルはそう言いながらも自身の左側に付いている封印具を弄っている。2人は、そこまで聞いてから各自が寝る予定のベッドに腰掛けた。流石に立っているのも疲れたらしい。
「そっか…ありがとう、話してくれて。答えられる範囲〜なんて言いながら結局全部話してくれたんだよね」
「あぁ、そうだ。あと一つ気になってたんだが…ラナに着せてるあのマントはなんなんだ？」
「あぁ、アレは俺の住んでた村で取れてた、ドラグニスっていう植物があってな、その植物の繊維から作られた特別なマントだ。俺自身が着てても効果はねぇが、嬢ちゃんに着せると本当に危ない時には守ってくれるってヤツだ」
「へぇ〜…なら、ずっとラナちゃんに着せておけばいいんじゃないの？」
「それで敵に見つかると面倒だからな。あのマントは火には強い耐性持ってるけど、水に弱い。一応火竜の加護っつー感じのだからな」
「なら、各属性のドラグニスがあるのか？」
「探せばな。まぁ、俺んとこの村では火の属性が多かったってわけだ。んで、マントが小さいまんまなのは俺が小さいころに作ってもらって、それから大きく作り変えるのが面倒だったからそのまま着てた。んでもう一つあって、加護発動すんのには自分の背丈とあった、もしくは自分にぴったりなサイズの装飾品じゃないと発動しないんだよ」
その話に2人は、聞き入る。特にベルは目を輝かせながら。
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
