travel 18 ページ22
・・・
「傭兵さん…ボクだけ蹴り飛ばすとか不公平だと思うんですけどー」
「ふん、お前だけギャーギャーうるさいからだ」
「ベル兄はそんなうるさくなかったもーん」
「あんたらなぁ…！」
「クスクスクス…ほら、早く行くよ」
リオに蹴り飛ばされ、木に激突したアルはそれでも大きな怪我はなかった。だが、それでもぶつけた頭は痛いようで、痛いとは言わないもののさすっているところからそれなりに痛いらしい。ベルの一言で森を抜けるべく歩く一行。その途中で、リオは何かの視線を感じあたりを見回すが、特に何もない。
「リオ？」
「いや、なんか視線を感じたんだ。気のせい、だったかな？」
「……嬢ちゃん、次の町入ったら絶対傭兵さんかマジシャンの側、離れたらダメだからな」
「わかった！」
「あれ、君の側は離れてていいわけ？」
「次の町、名前なんだっけ？」
「確か…ホーセリア、だったか」
「やっぱり…あの町に入ったら2人もボクから離れてて。ちょっと、危ないかも」
視線を感じると言ったリオの言葉に何かを確信したらしくそんなことを言い出すアル。その言葉に何かしら自分達に話せない事情があるらしいと察した2人は承知する。
「もしかして、アル兄前にその町に行ったことあって、その時に悪いことしてたりしてー」
「……町の人たちにとっちゃボクのやった事は悪い事ってヤツだった。ただ、それだけだ」
「「え…？」」
「因みに、何やったか聞いても？」
「簡単に言えば言えば、モンスターの群れが町に入ってこようとしてたから、それを全滅させた」
「それ、悪い事じゃなくて寧ろ感謝される事じゃないか。なのに、悪い事だったのか？」
そう。リオの言うとおりなのだ。普通であればモンスターの群れに襲われそうな所を救ってもらったのだから、アルは感謝されるはずなのだ。だが彼が言うには「悪い事」らしい。その意味がわからない3人は首をかしげる。
「ありゃ…これは面倒だなぁ…よし、マジシャン。ボクの手首後ろで縛って。それから、嬢ちゃん…そのマントは絶対に脱ぐんじゃないぞ？いいな？それから、傭兵さんには縛られたボクを犯罪者を連行する時みたいにして」
「え、お前そう言う趣味だったのか？」
「んなわけねぇよバカ！あの町、ボクがいること感づいてる。さっき傭兵さんが感じたのは、町の偵察のヤツだ。どうも町の名前聞いた時から嫌な予感はしてたんだけどな」
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月14日 15時
