travel 55 ページ9
「あぁ、大丈夫。わかってる」
そう答えたアルティアはどこか寂しげで、普段の彼とは全く違う。そんな様子のアルティアにベル達はどう声をかけたもんか、と悩む。彼の顔を見れば嫌でも彼が昔の事を思い出したんだとわかるからだ。もしそれがいい記憶なら。それならまだ声のかけようはあったのだが。どう考えてもあまりいい記憶ではない。すると、場の空気を読んだのだろうアルティアが沈黙を破る。
「パール、お前はそう言うけどソレ、“表”だ。あの人達の顔の使い分けには俺も参ったよ」
「は…？嘘だろ？だって、お前…家に行ったときだって、何も…そんな…」
「ははっ、俺の体見るか？というか、見た方がいいな。良いもんじゃねぇけど」
混乱するパールスワルトにアルティアは苦笑しつつもそう言う。だが彼の返事を聞く前にアルティアは両腕のアームカバーと指抜きグローブを外す。すると、そこには刃物で切られた傷痕や火傷のような痕、さらには痣があった。どれも見ていて彼が何をされていたかがわかる上に痛々しい傷痕ばかり。
「「「!!」」」
「な？これでわかったろ。あの人達が優しいとは真逆の性格だったって事が」
「嘘だろ…なんでだよ、お前…！」
「ちょっ…君、それ痛くないの!?というか右手首は動かすなって言ったでしょ！」
「お前…必要時以外マント脱ぎ足らなかったのって…」
それぞれが感想と共にアルティアに問いかける。その問いに丁寧に答える(約1名問いかけになってないが)。
「そう。脱ぎたくなかったのはこの傷痕を隠すため。いくらアームカバーをしてるとは言えな。まぁ見られたくないってよりは見た方が不快だろうからな」
「……」
「んで痛くないかって？今は右手首のがいてぇよ。ま、たまに疼く時はあるけどそんな支障来すわけじゃない」
「そう…」
「でだ。勘違いするなよ？俺は言えなかったとかじゃあねぇ。言いたくなかったんだ。けどお前を信じてねぇとか頼りねぇとか思ってたわけでもねぇんだよ」
アルティアは最後にパールスワルトの問いに答え始めたが、アルティアがそう言っても辛そうな顔をするだけだった。そんな彼にアルティアは。
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
