travel 89 ※流血、吐血表現注意 ページ43
ドスッという鈍い音。その音は、此処にいるメンバー全員に聞こえていたし、残念ながら誰もが一度は聞いたことがある音だ。
「は――!?」
「おい小僧!?」
「っ、ごぼっ……!!へっ、舐めてもらっちゃ、困んだよ……!!こんな程度、飲まれることに比べたら、ずいぶんマシ、だっつーの」
突き刺された大剣は、貫通している。これは流石に抜けない。普通の大きさの剣ならまだしも、彼が自身に突き刺したのは大剣だ。抜いてしまえば失血死待ったなし。いや、抜いた直後にラフィナが回復魔法を全力でかければ、助かるかもしれないがその手は今は使えない。
彼女は今、この闇の暴走の
「おい、何やってんだ貴様は!?」
「だーいじょーぶだっつーの。抜かなきゃいーんだよ。それに――」
『貴様……!!わかっテ!!』
堕神カルネジアが怒りを含めた、焦った声で言う。その声を聞き、アルティアはニヤリと笑う。どうやらこれが狙いらしいが、狙いがわからない。自身を傷つけ、堕神を焦らせるのはわかる。だが、そうしたところで、どうしようというのだ。
下手をすれば即死、上手くいったとしても後遺症が残りかねない傷を残すことになるのは確実だ。それなのに。そこまでの危険を冒してまで何故。リオとアレクにはわからなかった。
「ここで俺が死ねば、まだ不完全な状態のコイツは、依り代を失うことになり、消え去る。今まで蓄えたチカラを、“俺の身体の維持に使わなけりゃ”な！」
「「！」」
『どこで、気付いタ？』
「はは、だーれが言うか、よ……ごほっ！」
アルティアは笑っていた。が、汗が頬を伝い、額にも汗がにじんでいる。その上顔色も最悪だ。大丈夫ではないのは、火を見るより明らかだ。
すると。堕神カルネジアの力だろう、闇がアルティアを包み込む。そして、それが消えたころにはリオの大剣を手に持っているアルティアの姿が。やはりアルティアという依り代が消えるのは堕神カルネジアとしても困ることらしい。
「これで、今あるチカラの半分くらいはなくなったろ？」
大剣をリオに返しながらニッと笑ったアルティアは、闇のオーラを纏っていた。
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
