travel 83 ページ37
――中は、薄暗い、というわけでなかったが、明るくもなかった。どこか、研究所を思わせる作りに、一行はやっぱりか、と思った。奴らのことだから、きっと罠を張ってるはずだ。気を付けて進まねばならない。
「さーて、嬢ちゃん。行くぞ」
「わっ!?ちょっ、アル兄〜〜！！」
「はいはい、蹴るな蹴るな。オレだって痛てぇんだよ！」
なんて、ガミガミ言う割にはそこまで気にはしていないようだ。
「仲がいいねぇ…」
「まぁ、あの2人はいざって時はちゃんとするさ。さて、あたしらはどうも、歓迎されてるようだぞ」
「わーぉ、そんな気を使わなくていいのに〜」
「本当だねぇ、私達に構わずに自分達の事をやってればいいのに」
それぞれがため息とともに武器を構える。が、アルティアはラフィナを抱えているからか、武器を片手に持ってはいるものの、戦闘態勢、というより回避態勢のようだ。
「アル兄！わたし、目つぶってるから！だから！てきさん、やっつけて！」
「わーったよ。だから、口も閉じとけよ！舌噛むぞ！」
こうしてアルティアを筆頭に、一行は目の前に現れた、黒い狼のようなモンスターを倒しにかかるのだった。
・・・
かくして、モンスターを倒し終えた一行は、先へ進む。そしてそのまま次の部屋に入った、途端。アルティアが、いきなり膝をついた。それも、いきなり脱力したように。一体どうしたというのか。部屋に入るまでは普通に歩いていた。ラフィナを右手に抱え、左手にハンマーを持っていたのだ。聞けば、そのハンマーも、常人では持ち上げるのは難しいとか言っていた。ともなれば、不意に膝をついたのはこの部屋が原因と言えるだろう。
「「「アル!!?/飾り!!?/君!!?」」」
「ぐっ……！」
「アル兄！あたま、いたいの？」
「ハハ…あたり、だ。っつぅ……くそっ、アレク…いや、フェルマ！嬢ちゃん、たのん、だ！どー、やら…おれは……ちぃとばかし、暴れん坊の、相手をしなくちゃいけないみたいだから」
後半で、『ボク口調』になったのか、声が高く、やんわりとした言い方になっていた。そして、言い終えると同時に立ち上がり、フェルマにラフィナを預ける。左手にはハンマーを持ったまま。
「さぁて、この部屋には何があるのかな？ちょっとボク、今機嫌が悪いからさ。――手加減、出来るかわかんないよ？」
ニッコリと部屋の奥に笑いかけながら、アルティアはそう言った。
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
