travel 69 ページ23
アルティアのその言葉を聞いたベルはハッとする。彼の顔を見たアルティアは魔道書を取り出して手を当てた。その行為でベルはアルティアが何をしようとしてるのかがわかる。リオも何となく察していたので、黙って見守った。
「…――…―――、――――」
アルティアは本の表紙に手を置いたまま何か呟く。だがその声は聞き取れず、また俯いているせいで顔もよく見えない。そうしていると、突然魔道書が淡い金色の光を帯び、アルティアも同じ色の光を纏う。そして、数秒の後金色の光がベルの目の前に女性の姿を形取る。その姿は、腰まであるストレートの髪に、白いワン ピースだろう服を纏っていた。身長は恐らくアルティアより少し低い程度だろう。その女性の顔はベルにのみしかわからない。だが、ベルの顔がかなり驚いているのはわかる。
「え…?リリア?本当、に…?」
ベルが堪らず話しかけた。すると、金色の女性はゆっくりと頷く。そして、アルティアの方に振り返って言った。
《ありがとうベルに会わせてくれて!それに、私の魂を顕現させるなんてすごいわ!》
アルティアはまだ金色の光を纏ったまま、ポカンとした顔で
「いや、別に…俺、そんな凄いこと…してねぇ、よ?」
と言った。そう、アルティア自身はいつものように魔道書を使っただけなのだ。代償として彼自身の集中力と精神力を使うが故になかなか強力な魔法は使えないのだ。それでも、彼の精神力や集中力は並の者を遥かに凌駕する程のものなので、それなりに強力な魔法を使っても問題ないと言えば、無いのであるが。
「大丈夫なのか?お前の精神力とか色々使うんだろう?」
「んー、まぁ大丈夫だろ。別に命削ってるだとか魂食わせてるとかじゃないからな」
「ならいいが。どうにもお前は無茶をするからな。頼むからお前までぶっ倒れないでくれよ?お前、そう見えて結構重たいんだから…」
「あれ、運んでくれるんだ?優しいな、リオは」
「あたしは優しくなんてない。それに、お前が倒れたら誰がラナを運ぶんだ」
リオはそう言って視線をそらす。どうやら「優しい」と言われたことが意外だったのだろう。それから、いつもの調子ではないアルティアに言われたことに少し照れ臭さを感じたのも理由の一つだろう。2人がそんな話をしている間、ベルとリアリカは話に花を咲かせていた。
「――でね!」
「そっか…君が寂しい思いをしているとかじゃなくてよかった…!」
「ふふふ、心配性だね、君は」
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時