travel 68 ページ22
懐かしむように言うベル。しかし、話の内容は簡単には踏み込んではいけないもので。それ故にアルティアとリオは聞いていて良いものか、と思った。だがベルから「この際だし、聞いてくれるかい？」と言われてしまえば断ることも出来ない。なんだかんだで彼も自分側には踏み込ませなかったから。ここで拒むなど、出来るはずがなかった。
「リリアはね、いつもいつもこうだって決めたら中々譲らなくてさ。あの日もそうだった。いつもの通り、僕とリリアは住んでいた町からそう遠くない所に湖があったからそこで話してたんだ。そしたら、湖に何か写ってね。最初はわからなかった。けどよく見たらそれは、魔道書でね」
「もしかして、魔道書がどうのって言ってたのって…」
「そう。結果だけ言えば彼女は魔道書に“喰われた”。僕を庇ってね。リリアには家族がいて、友達もいて。幸せだった。だから家族が居ない僕の方が喰われる方が良かったのに」
そこまで言ってからベルは言葉を切った。その先を察した2人は、それでもベルの言葉を待った。
「なのに、リリアは言うんだよ。貴方がこの魔道書を使いこなしてくれればいいって、そしたら危険もないでしょうって…！」
「オーケーオーケー、偶然何かのはずみで魔道書の封印を解いたみたいになって、その代償にリリアを命だけじゃなく魂ごと喰われたってわけか。魂ごと喰われたせいで身体も何も残ってない、と。んで、そんなのを目の前で見せられてその魔道書を使いこなすとかも無理だった、と。そしたら勝手に魔道書が消えた――こんな所か？」
話すのが辛く、そしてこれ以上は無理だろうと思ったアルティアが後を引き継ぐ。
「そう…だから、もしかして君の持ってる魔道書が…」
「お前の大事な人を喰った魔道書かもってか。なんつー…魔道書なんてあたしには全く使い方すら不明なんだが…」
「……あー、ベルの大事な人、なんだろうな。何か色々把握したわ」
「「!?」」
アルティアがいきなりそんなことを言い出すから、2人はほぼ同時にアルティアの顔を見、アルティアの方は片手で頭をガシガシとかく。表情からして言うのを少し躊躇っているようだ。しかし、そんな彼にベルは言う。
「……話してくれないか？」
「あー、うん。俺、その魔道書のページをちょくちょく言ってたろ？そん時、声がしてる。頭ん中に直接。それも、女の子の声だよ」
遠慮がちにそう言ったアルティアは、何かと落ち着かないと言った感じだった。
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ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
