travel 49 ページ3
パールスワルトが魔法を発動させると、彼の頭から足先まで紫色の光が覆う。そして、それが頭の方から光が、ラナの元へ吸い込まれていく。そしてそれが終わるとラナは気を失っていた。だがどうやら、魔法は成功したらしい。
「なんとか、なったのか？」
「みたいだよ。にしても、アル君…あの魔道書に書かれてる魔法、全部覚えてるのかな…？」
「あり得ないだろ…たまたま覚えてたんじゃないのか？」
「かなぁ…？魔本じゃなくて魔道書だから、もしかして…――、いやそんな事ないね」
そう言ったベルは険しいものだった。ソレをチラりとみたリオは何かを察したが、アルティアと同じでベルもポーカーフェイス持ちで誤魔化すのが上手いため、ここで聞いたところで教えてはくれないだろうと思ったために聞かなかった。
・・・
あれから宿屋はなかったのの城主に事情を話し、部屋を提供してもらったので5人まとめて大きな部屋に通されていた。噂の暴君ぶりとはかなりかけ離れていたが故に、アルティア達は思う。きっと、街全体が闇に飲みこまれていたのだろう、と。部屋の中では、各々がしたい事をしている。アルティアはベッドで寝ているラナの隣に座って気にかけている――ように見えるが、うつらうつらと舟を漕いでいるのがわかる。ベルはパールスワルトと何やら話をしている。リオは今にも眠りそうなアルティアに声をかけた。
「もう休んだらどうだ、今日はお前疲れているはずだろ」
「…ん、今日はやけに優しいね、傭兵さん」
「む……そりゃいくらなんでも、目の前であんなに苦しそうにされたら心配だってするわ！それに、堕神とやらの声も聞いたし本当にお前に堕神が宿ってる事が確信できた」
「あーそれは俺もびっくりした。まさかあの場に居た全員に声が聞こえてるとは思わなかったな。にしてもあれくらいの事で飲みこまれるなんて、俺、成長してねぇのか？」
「過去の事、覚えてないのか？」
「あぁ。何も、思い出せ――…!?」
アルティアはいきなり口元に手を当てる。何事かと思ってリオはアルティアに近づく。すると、彼の顔色が真っ青な事が分かる。もしかしたら、今の会話で何か思い出したのかもしれない。
「！…吐きそうか？」
リオはそう問いかけるが、彼からの返事はない。眼を見ると、瞳孔が開ききっていて、何処を見ているのかがわからない。その上、酷く怯えているようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユエル＠リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです！ (2017年10月16日 18時) (
レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです！続き待ってます！ (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユエル＠リノリア | 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月20日 23時
