travel 66 ページ20
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何とかアルティア達はフォトリアの宿屋に辿り着き、大部屋を借りて気絶しているアレクとラナを寝かせる。どうやら、アルティア達がブラックドラゴンの群れと戦っている間、ラナはアレクの怪我を治していたらしく、そのせいで気絶してしまう程消耗してしまったらしい。その事に気付いたのは今いる部屋にアレクを寝かせてからだったが。
「ったく、何でこうもラナは無茶しやがる…!俺はともかくこいつは無茶なんてしたら下手したら死ぬかもしれないんだぞ…」
半ば呆れたような顔でベッドに寝かされているラナの頭を撫でつつ、そう言うアルティアは怒っているのと、心配しているのとが混ざった声音だ。そんな様子のアルティアに、ベルは苦笑しリオは同意した。
「確かに、ラナは無茶をしすぎる。……何か、故郷であったのか?」
「ははは……」
「……こいつは、伝承通り黒髪にピンクの目をした「光届ける巫女」で、実際に光魔法を使える。ただ、その天才的な魔法のセンスでもう光魔法をマスターしているし、難しいって言われる回復魔法もだ。だから、村では何かと孤独だった。その上、まだこんなに小さいガキなのにな…一人で旅することにもなってた。まぁ、俺が大怪我でコイツの住んでた村の近くに倒れてなかったら、きっとラナは一人旅をしてて、世界は闇に飲まれてたかもな」
「「!?」」
「こんな小さいガキが一人旅なんてできるか。わかるだろ。……まぁこの旅が終わってあの村に戻って、ラナの父ちゃん母ちゃんが、本当に歓迎するかは別だがな」
「は…?」
「ねぇ、それって…」
「どうにも、嫌な予感しかしねぇ。あと。ココだけの話、俺はラナが居なかったら死んでた身。だから、俺は…守んなきゃなんねぇ。俺ができる恩返しなんてたかが知れてるけどな。まぁ、そーゆーわけだから、ちぃとばかし…気遣ってやってくれ」
アルティアの言葉に苦虫を噛み潰したような顔になる2人。ベルはそれでも、ふとアルティアを見た。すると、彼はどうだろう。顔は前髪で見えなかった。だが、ベル側から見える手――右手を爪が喰い込む程、握りしめていた。よく見れば既にもう血が出ていることが分かる。その事にベルは慌ててアルティアに駆け寄ってその手を両手でこじ開けた。
「ちょっと、アル君!!」
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時