travel 71 ページ25
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次の日の朝、アルティア以外は全員起きていた。だが、さすがに昨日のこともあり誰も彼を咎めようとも思わなかった。
「アル君、本当に動いてないね」
「ホントだ!アル兄すごい!」
「この小僧、なんてったってこんな禍々しいの宿してんだよ…しかも、チカラを多少なりとも使いこなしてた様にも見えたが…」
「えっとね…私と会ったときには、もうこの髪飾り…封印具だっけ?を、つけてたよ」
「こいつ自身が記憶喪失だからな。いつからってのは知らない。けど、年単位ってのはわかる」
「年単位…!こいつ、そんな長い間宿してるくせに全然狂ってないのか…驚きだな…普通は何かしら狂ってるもんなんだが…」
アレクはふむ、と顎に手を当てて考え込む。そして、アルティアにはチカラに対して耐性があるのかもしれない、と思ったのだった。何故なら、普通は何かしら狂ってるの精神が狂っておらず、更にはチカラを少しとはいえ使いこなしているとなれば、そう考えるのが妥当だと思えたからである。
「アル君、チカラに飲まれてても抵抗してたよね。抵抗できる何かあるのかな?」
「あぁ、元からこいつの身体がそーいうもん、かもしんねぇな」
「うぅん…?あ、俺がさいご、かよ…」
「おはよう!ケガは??大丈夫???」
「嬢ちゃん…あぁ、大丈夫じゃねぇけど…ま、動かさなきゃいいんだろ?幸い片手で本は…あー、武器直せねぇんだっけ。利き手じゃないから大丈夫だろ」
「大丈夫なのか?」
「よぅ、お前さん…そのチカラ何年も宿しててよく狂わないな。なんか、正気を保つ方法でもあんのか?」
起きたばかりのアルティアにアレクは容赦なく聞く。地雷を踏むかもしれないのにだ。だが聞かれたアルティアは
「へ?あー…まぁ、封印してるからな。悪夢見るだとか頭痛がするだとか、そんなもんだし…まぁ宿した直後は確かにヤバかったって記憶が微かにあるんだけどな」
と、ことも無げに言うので大丈夫だったらしい。それを聞いたアレクはきょとんとした顔で見ていたのだ。よほど意外だったらしい。
「おいアレク?」
「あー…いや、その…。普通はそんな程度じゃすまねぇから、ちと驚いた」
「あ、そなのか。で、傭兵さんが持ってるいかにもな石はコイツに喰わせていいのか?」
「「「!」」」
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時