まほやく妄想置き場 (ページ6)

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「フ、ファウスト……？」

「ははは、賢者か！」

「賢者です…‥」

ファウストは、俺に酌をした後も、同じペースで飲み続け、完全に出来上がってしまった。
ファウストはお酒を飲んでもあまり顔に出ないから、わかりづらいので気を付けていたのに、今日はお酒を飲んだ方が眠れるかもしれないなあという思いもあって止めることが出来なかった。

きっと、今日のバスケットにワインが入っていたのも、酔いつぶれて寝ればいいというネロの心遣いがあったと思う。

「そうだ、賢者。手をつないでくれないか？」

そういって、向かいに座っているファウストの右手がこちらに差し出される。

「え？」

普段のファウストならこんなことはしないのに、随分大胆で、既知の遺跡にいるときのネロみたいで、少し目の前の光景を疑ってしまったが、俺が手を繋ぐのを戸惑っているときのファウストの顔がやけに悲しげだったので、思い切って手を繋いだ。

「ふふ、試してみたいことがあったんだ。ミスラやオズはこうして賢者と手を繋ぐことで傷が収まるだろ？だから、僕もこうして賢者と手を繋げば、夢は零れない……」

ファウストはそう自慢げに話して俺の顔を見た。

「なあ、今日は僕と一緒に眠ってくれないか？こうして、手を繋いで」

ファウストがベッドの方に俺の手を引いた。繋いだ手のファウストの指が俺の手の甲を撫でて、ゾクゾクと身体が熱くなった。

きっと、ワインを沢山飲んだせいだ。