特に何も思いつかないけど何となく何か書きたーい！ (ページ5)

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毛利の歌う声に合わせて、ギターを弾くだけだった松平も毛利の声に合わせて男性のパートを歌った。松平の声は渋くて、その剛健さが少し残る顔にとても似合う声だった。

「あの……、カーペンターズのtop op the world、お好きなんですか？」

毛利は、歌い終わってから、松平に聞いた。松平は微笑むだけで何も言ってくれなかった。先ほどもそうだったが、堅そうな外見をしているのに微笑みが乙女のようで、毛利は不思議に思った。

その週の休日、夕方に前に歌ったときの部屋で作業をしていると、また隣の家からギターの音が聞こえた。流石にまた歌うのはどうだろうかとただ聞いているだけにしていると、突然音がやんでしまった。どうしたのだろうと松平の家の方の様子をちらと確認すると、どうやら松平は心臓を押さえていた。

血の気が引いた。

毛利は「大丈夫ですか」と大きな声で叫び、その返答を待たずに自宅を飛び出し隣の家の玄関に手をかけた。自分の高い声をあまり出したくなくて、普段は小さい声で話す毛利は、大きい声を出せる自分に少し驚いた。上の方から「気にするな」という声がしたが、毛利はその声を気にしないことにした。玄関は開いていて、家の中に入ることが出来た。その家はとても清潔で、ピンとして健康的な向日葵の花が一輪、キラキラと自信たっぷりな様子で花瓶に飾られていた。その他もまるで女性の一人暮らしのような雑貨がたくさん置いてあった。料理もきちんとするようで、キッチンがあるところらしき場所から、晩御飯にするものだろうか、とてもいい匂いがする。

毛利は、小走りで階段を上り、松平がいる部屋の元に行く。そこには顔色の悪い松平が先ほど同様心臓を押さえていた。

「……いま、救急車を呼びます。」

毛利がそういうと、「いいんだ、原因も分かっている、いつもの発作だよ。」と松平が返した。

「……そうですか。」

毛利は、そういいながら、松平の元に向かっていき、松平の背中に触れた。そのとたん、その影響なのだろうか、松平は顔をしかめて口に手を当てた。毛利は、日ごろから吐瀉物に慣れており、その対応も的確だった。すぐに対応して、掃除も手際よく済ませた。