00:始まりの終わり ページ1
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『ほら!泣かないで?今日はここまでにして里に帰ろう?』
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さし伸ばされた小さな手。
茶髪の散切り頭、真っ赤な瞳を輝かせながら…貴女はそこにたっていた。
他人より劣って…一人ぼっちになっていた僕を助けるように…泣いていた僕を助けるように君は…。
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『どうして…僕を…?』
『だって蜜蜂は仲間だもん!』
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にこりと笑い手を掴むと、一気に僕の手のひらを引き上げる。
小さな手の温もりは暖かくて…本当に優しかった。
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『それに…好きだから。私と違ってさ優しいその目も、髪も蜜蜂自身も…大好きッ!!』
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無邪気に照れて、少し頬を赤めた君は、少年染みていて、僕の憧れだった。
いつも僕を心配してくれて、仲間を心配してくれて…。
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そんな君が大好きだった…────。
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(───…言えなかったな…)
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ボヤけていく意識の中、虚刀流の姉を誘拐するはずだったのに、返り討ちにあって…。
蝶々さんや蟷螂さんも死んで…僕の命も短くて…。
呼吸すらできない…。
ただ最後に…せめて虫組の三人で、一緒に眠りたくて…。
寂しいんだ…一人ぼっちは。
昔から変わらないって言われるかもしれないけど…君ならわかってくれるよね。
昔からの僕を知ってる君なら…。
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(でも本当は…死にたくない…)
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君に伝えたいことがありすぎて…今すぐ戻りたいと願ったけど…無駄な結果。
この娘は…虚刀流の姉は…化物だ。
このまま行けば…もし真庭の里にでもいってしまえば…。
里もろとも君も死んでしまう。
それだけは避けてほしい。
浅はかな願いでも。
もし神様という人がいるのなら…どうかこの虚刀流の化物を…真庭の里には近づけないでほしい。
あの娘だけでも…ずっと生きていてほしい。
それだけが…望みだ。
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振り下ろされる大太刀を眺め最後に思い浮かんだのは…────。
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真っ赤な瞳を輝かせながら修行をしていた姿。
たくさん怪我をして…でも笑っていた姿。
本当は寂しがり屋で泣いていた姿。
大人になって僕の頭領祝いに来てくれた…君の姿。
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『蜜蜂ー!大好きッ!!』
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残りの頭領11人の前で、僕の首に手を回し、鸚哥のようになついた君に。
届くといいな。
最後に伝えたい言葉を…───。
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(…A…ずっと好きでした…───)
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痛みが体に走ると同時…。
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僕の意思は…────…途切れた。
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作成日時:2013年11月9日 0時