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「は、初めまして…。」
「どうぞ、上がって。ごめんね、愛想悪い弟で。」
「弟…さん?ショウが?」
顔の雰囲気が全く違う事に違和感を感じてしまう。
「あ、あー、母親が違うんだよ。だから似てないでしょ?」
「あ、そうなんですね。」
手招きされてリビングに入り、ちんまりとソファの端に腰を下ろす。
「ショウが三男、僕は次男で、兄も一緒に住んでる。俺達3人は異母兄弟なんだ。」
「ココア…飲むか?」
ショウがマグカップを手渡しながら、隣に座った。
「あ、ありが「俺のは?」」
「…自分で入れろ。」
「ケチ!ついでに入れてくれりゃ良いのに。」
タルタリヤさんは不服そうな顔をしてキッチンへ。
「ただいま。はぁ、疲れ…お客さん?」
スーツ姿に真っ赤な髪をポニーテールにした人が帰ってきて、「こんばんは。」と私に挨拶してリビングを通り過ぎる。
「一番上の兄だ。名前はディルック。」
「…お兄さん…。」
「で、うちで働く気になったか?」
「あっ、あ…私…。」
温かいココアを飲んで和んでる場合じゃないのに!
焦る私に微笑みかけ、タルタリヤさんは「大歓迎〜。」と目の前のラグに座った。
「見ての通りのしがない野郎3人暮らし。部屋はあるし、家事さえしてくれれば何の縛りもないから…っ、熱っ!」
マグカップに口を付け、ビクッと跳ねる姿にショウは呆れた顔をする。
「あ、ディルック、ディルックは彼女をどう思う〜?新しい家政婦さん!」
部屋着に着替え、髪を下ろしたディルックさんがリビングに来た。
「僕はショウが良いって言うなら何も言わない。人を見る目があるからね。」
「まぁ…明日の朝までゆっくり考えれば良い。客間に案内する。」
「あ、今から晩御飯だから一緒に食べ「触るな。」」
立ち上がった私の頭を撫でようとしたタルタリヤさんの手を振り払って睨む。
「あ、私は大丈「早くおいでね、待ってるから。」」
キッチンに立つディルックさんに頭を下げ、リビングを出た。
「好きに使えば良い。着替えはそこのクローゼットに入ってるから適当に…どうした?」
「見ず知らずの私に…どうしてそんなに優しくしてくれるの?」
部屋のドアに腕を組んでもたれるショウに問い掛ける。
明日の朝には居なくなるかもしれないのに、それに何の得も無いのに。
「別に…只の気紛れ、家政婦に丁度良いから連れて来ただけだ。」
頭の上で手をヒラリと振り、「飯だ。」と部屋を出て行った。
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作者名:更新遅めvoice | 作成日時:2022年7月14日 19時