私は貴方の飼い主よ

最強の姉26 ページ27

最悪だ最悪すぎるなんだよなんなんだよ私が何したってんだ。
目の前の人物に私は体が震えているのが分かった。

「お姉さん、あれ見えるの？」

『…っ』

顔は彼にそっくりだ。
そしてその髪はお母さんに似たんだね。
大好きな彼と同じ顔をしている幼い男の子に私はどうしたらいいかわからなくなった。
高専に入ってもう半年以上は経った。
彼のことは忘れられずに居たけど、毎日思い出す事はなくなった。
このまま忘れたらいい、そうした方が楽だ。
それなのに、どうしてまた思い出させるように…。

「お姉さん？」

『ぁ…け、怪我…ない？』

「うん」

『そう…あれはもう私が消したから…大丈夫よ』

「…あれ、どうやって倒したの？いつも見えてて困ってる」

『………あなたの、お父さんに聞きなさい』

「え？」

『今1人？』

「ううん、お父さん今コンビニに行ってて」

ダメだ、すぐここから去らないと。
彼に会ってしまう、彼に会ったら私はきっとこんな子供の前で彼に泣きながら罵倒してしまう。
そんなのダメだ、今すぐここを離れ

「戻ったぜ」

『………』

「お父さん」

子供が私を通り過ぎて行く。
後ろを振り向けない、振り向いたらせっかく固めてきた私の感情が崩れてしまう。

「……お前…」

『お父さん戻ってきたのなら、もう大丈夫ね』

振り返らない、そう何度も頭の中で叫びながら私はその場から立ち去って。
体が震える、どうしたらいいの。
どうしてこんなタイミングで彼に会うのよ…。
悟…悟、助けて…もう私…私じゃいられなくなる…。









(お父さん？)
(…帰るか)
(あのね、あの人助けてくれたんだよ、危ない人じゃ)
(分かってる…あいつは…優しかったろ)
(うん)

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