貴方様のお傍に (ページ6)

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天元様の元を去り、今日で1年が経ちました。

この1年、寂しくないと言えば嘘になりますし、心の中が空っぽなのが分かります。
ご飯も味気なく感じ、世界の色も無くなり白黒の何も色のない世界に見える。
あの人が居ないだけで私の世界はこんなにも寂しい。

今は里から離れた山奥の中にある空き家を掃除して使えるようにして暮らしています。
最初はいつもの癖で二人分作ってしまって、泣いてしまった記憶があります。
下に降りれば村があり、山の幸と交換で色々とくださり、とても助かっています。
そんな毎日が続く中、ある嫌な噂を聞きました。

【最近ここらに鬼が出る】

忍びの里に居たから鬼が実在するということは知っていたけれど、本当に居たなんて。
忍びの才能がなかった私はきっと一瞬で殺されてしまう。
けれど、あの人と約束したから。

『まだ、死ねませんよね』

あの人と再び会うためなら、私はなんでもやります。
そう誓って私は山道を歩きながら家へと向かっていた。
すると、家の前に一人の男の人が立っていた。

『あの？』

「…あぁ、もしかしてこちらにお住まいの？」

『そうですが、なにか？』

「すいません、もし良ければ飲水を頂けませんか？切らしてしまって…」

申し訳なさそうにそう言う男性にAは警戒を解きそうになったが、ある違和感を感じた。
汚れていない衣服や真新しい水筒に、違和感を。

『…水が用ではありませんね？』

「……あはぁ、君いいねぇ」

やはり、鬼だった。
直ぐに来た道を戻ろうとしたが、如何せん鬼の方が早かった。
気づけば私の腹に鬼の手が貫通していた。

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