亡者は語る ページ3
お前は要らない子なのだと、言われる前から気づいていたのは、どれくらい前だろうか。
私はそんなに出来る子じゃなかったけれど、努力もしたし、頑張った。でも、結局は全部無駄だった。全部全部、いい所は妹のモノだった。別に恨んでいる訳では無いし、恨んだところでどうしようもないってことは分かってた。
だから、もういい。もういいと思っていたのに、あの人の自己満足な行いで全部、全部崩れた。
あぁあ。悪い、難い、憎い！何がって何もかもが！全部全部どうでも良かったはずなのに！
× × × ×
平腹はAの口元をむにむにと弄び、笑うってのはこうやんだ、としたり顔で教えている。流石にこれには佐疫と木舌は苦笑した。
Aはというと、何も言わず、平腹にされるがまま。
『…わたし、いつまでここにいればいいの？帰りたい、家に帰らなきゃ、まだ、終わってない。終ってないのに』
｢ほ？お前は帰れねぇよ？｣
だって、死んでるから！と平腹は笑う。嗤う、哂う。無邪気に、当たり前ように。
そうして、沈黙が訪れた。
『……そっか。わたし、死んじゃったんだ』
｢死にたくなかったなら、なんでお前死んだんだ？｣
『分からない。でも、別に死にたくないわけじゃなかった。どうでもよかったから。』
Aはそう言って、獄卒たちの顔をぐるりと見渡す。
『でも、変なの…。憎いってことしか、覚えてない。』
｢君はいま、獄卒の魂を乗っ取ってるんだ。だから、多少記憶が混濁してるのかもしれないね。｣
佐疫はAにお茶をだしながらそう言う。Aは小首をかしげ、乗っ取った経緯を探すが思い出せそうにない。
『この体、私のじゃないんだ』
｢そう、それはAっていう子の体。まぁ、君が暴れずらいようにって肋角さんが子供の依代にいれたんだけどね。不便だろうけど、理解してくれると助かるよ｣
ポツリと、つぶやいたAに目の前の木舌はそれはもう丁寧に説明をした。
｢出来ればすぐにでもAの体を返してもらいたいところだが、無理やり引きずり出して魂に影響が出てはたまらん。｣
『ごめんなさい』
｢……完全に貴様のせいだとは言いきれん所が、獄卒として情けがないことだがな。｣
谷裂が深いため息をついた。元はといえばAが油断したことがきっかけだ。完全に亡者のせいだと言えないのが、今の現状だ。
『…あの時、抱きしめて慰めてくれた人、誰だったのかな』
ポツリ、A、もとい亡者はそうつぶやいた。
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匿名(プロフ) - 博麗の巫女さんさん» コメントありがとうございます、更新の方ぼちぼちとしていきますのでぜひよろしくお願い申し上げます！ (2016年5月15日 22時) (
レス) id: cce638f287 (このIDを非表示/違反報告)
博麗の巫女さん - 面白そうな感じですね！楽しみに待ってます（＾ω＾） (2016年5月15日 2時) (レス) id: 964f89e669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名 | 作成日時：2016年5月14日 14時
