醜い天使【HP】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:11,714 hit

9 ページ9

Aの言葉に驚いたようだったが、アーサーは嬉しそうに「ええ、ぜひ。」と笑うと時計を見て、

「もうお昼時だけど、ここで何か食べていかないかい？」と聞いたが、いえ、大丈夫です。また別の機会に。と断った。

お腹は空いていたし、アーサーも双子も悪い人じゃないと分かってはいたが、そんなにすぐにレースを外すなんて出来なかった。

断ってしまったことは申し訳なく思っていた。

『それじゃあ私、そろそろお暇させていただきますわ。』

Aが言うと、やっとフレッドとジョージが動き出した。

ポケットから羊皮紙と羽根ペンを取り出し、さらさらっと何かを書くと、Aに差し出した。

見てみると、それは恐らく2人の住所だと思われるものだった。

「手紙くれよな」

「なんか困ったことあったらいつでも相談しろよ。」

2人は言った。

Aもバッグの中から羊皮紙と、さっき買ったばかりの万年筆を取り出すと、自分の住所を書き込んで、

『じゃ、これ僕の住所。』

と言って双子に渡した。

アーサーはAの一挙一動に(特に万年筆を使ったときに)少年のように目を輝かせていたが、話し始めてしまったら絶対長くなると思ったため、

『何か用があれば、いつでもお手紙くださいね。お待ちしています。』

と言い微笑むと、それじゃあ、と踵を返して漏れ鍋から出ていった。

ウィーズリー家の三人も、そのあとすぐに漏れ鍋を後にし、帰路についていた。

____________________________

「いやぁ、それにしても驚いたな…」

アーサーが呟く。

双子は「何に？あ、Aのキャラの切り替えの速さのこと？」などと反応し笑っていたが、至って真面目な様子で

「ラミレス家は、純血主義の家系でも、特に拘りが強くってね。

だから、そんなとこのお嬢さんがマグル好きだなんて、許してもらえるもんなのか、と思ってね。」

と言った。

するとフレッドは

「許されないみたいだったけどな、」

と宙を見つめながら思い出すように言う。

アーサーが聞きたそうにしたので、双子は代わる代わるAと出会った時の状況を語った。

「で、そこを救ったヒーローが俺たちってわけだ。」

最後に自慢げにジョージが付け加えた。

そんな話をしていると、あっという間に隠れ穴に到着した。

すでに昼食が用意されていたのでそれをさっさとたいらげ、双子は自室へと我先に駆けていった。