醜い天使【HP】 (ページ4)

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母親がもう一度叩こうとした時だった。

「「やめなよ」」同時に２つの声が聞こえた。

パッと振り返ると、同じ顔が２つ。
叩かれすぎておかしくなったのかとAは目を擦った。が、やっぱりそこには同じ顔。

「なぁ、あんたその子の母親だろ？なんでそんなことができるんだよ？」
片方が母親に問いかける。

「この子がっ！私を怒らせるからよっ！」
怒りに目をギラギラさせながら母親が言った。

「ほーん。ところでオバさん、“マグル”なんて、こんなに人がいるところで言っていいことなのか？」
もう片方の言葉で母親はうろたえた。

「なっ…A！それに決めたならとっとと渡しなさい！」と言い、Aが何もいう前に、大切そうに握りしめていた万年筆をむんずと掴み取り、代わりに金貨の入った袋を押し付けた。

「もう呆れたわ！私は先に帰るから、学用品は1人で買ってらっしゃい！」
そう怒鳴りつけ、万年筆の会計を済ませると、それもAに押しつけて、ドスドスと足音を立てながら去っていった。

Aは呆然としていた。
上手く状況を飲み込めなかったからだ。
彼女の頬は、顔の半分以上を覆い隠していると言っても過言ではないレースの上からでも分かるくらいに腫れ上がっていた。

すると、先程の2人が近づいてきた。

「大丈夫か？」そう言って俯いていたAの頬に優しく手を添え、自分の方に向かせた。その様子を、もう1人も心配そうに見ていた。

『…っ。』急に優しくされたからか、それとも母親がいなくなった安堵からなのか、Aの透き通る碧い瞳からは、大きな雫がぼろぼろとこぼれ落ちた。

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2人はAが泣き止むまで隣にいて、時折背中を摩ったりしていた。

『ご、ごめんなさい。迷惑かけちゃって…。』鼻を啜りながら謝る。

「いいんだよ気にしなくて。それに、俺達ずっと店の中にいたけどさ、悪いのは君じゃないぜ。」

「そうさ。君は悪くないんだ。それより君、ホグワーツ生？」

『え、えぇ。今年入学なの。』Aが答えると、2人はニコッと笑って

「それじゃ、一緒だな。」「俺達も今年入学なんだ。」と言った。

2人の笑顔につられて、Aも笑う。すると2人は顔を見合わせた。

「そういえば君、なんていうんだい？」片方に聞かれて、

『あ、ごめんなさい。すっかり忘れてたわ。私、A・ラミレスです。2人は？』