醜い天使【HP】 (ページ27)

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Aは緊張やら期待やら不安で感情がぐちゃぐちゃになりながらも帽子の元へ向かった。

帽子を、被った。

「フム、ラミレス家か。代々スリザリンだな。だが…、『スリザリンは嫌！』

帽子の言葉に思わず強く反応してしまう。

「分かっておる。そう焦るでないぞ。
…お主は、そうだな、勇気がある。そう、たった今の出来事のように。そして、優しいな。
友を何より大切にする心を持っている。両親とはかけ離れた、情熱を秘めている。美しい未来が見える。…ならば、」

Aは唾を飲み込んだ。そして、ギュッと目を瞑る。

「グリフィンドォオオオオオオオオオオオオオオオル！！」

広間中がざわめく。

帽子が叫ぶと、Aはパッと目を輝かせた。

グリフィンドールの席からは歓声が上がっていた。

グリフィンドール以外の寮は相変わらずざわついていたが、それが特に顕著だったのがスリザリンだ。
ふとエジャートンの方へ視線を送ると、彼はAを睨みつけていた。

周りでは、「ラミレス家って…あの？」とか「スリザリンじゃないのね」というような小さな声が飛び交っている。

普段のAがこんな状況に置かれたらとてもじゃないけど平然を保てない。
しかし今は全てのことを凌駕するほど気分が高揚していた。

グリフィンドールの席へ向かうと、双子はとびきりの笑顔でAを迎え、自分達の間に座らせた。

「やったなA！！」「やっぱり俺らの予想は当たってたろ？」

Aは最高の笑顔でその言葉に応えた。

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つい先程まで強張っていたのがまるで嘘のようにAの頬はゆるゆると緩んでいた。

Aにとってグリフィンドールに入れたという事実は形容し難いほど素晴らしいものだった。
暖かな家族を手に入れたような気分だった。なんせ、2人が一緒なのだから。