醜い天使【HP】 (ページ3)

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『やっぱりマグルはすごいなぁ…。こんなに素晴らしいものを考えるなんて…。』
うっとりしてため息をつくと母親は、

「マグルなんて素晴らしくも何ともないわ。貴方はもっと分かる子だと思っていたのに残念だわ。私にはそれの良さがこれっぽっちも理解できないもの。」
　と言い、フンっと鼻で笑った。

やっぱりまだ怒ってる…。Aは苦笑した。
母親の機嫌が良いときと悪いときで態度が変わりすぎることには昔から悩まされてきた。
私の身支度が遅かったっていうのと、ここがマグルの店だからっていうのが相まって、余計に機嫌を悪くしていたのだ。

「外で待っているからさっさと決めて頂戴。決まったら呼ぶのよ。」
そう言って店の外に出て行く母親を見て、Aは今度は深いため息をついた。

Aは散々悩んだ挙句、自分の瞳と同じ明るいブルーの宝石のついた物を選んだ。

「やぁお嬢さん。君も万年筆が好きなのかい？」
選んだ後も色々な万年筆に魅入っていたら、マグルのおじさんに声をかけられた。

『えぇ、そうなんです。私、万年筆が大好きで！これなんかすごいですよね、軸が木でできてて、しかもサクラの木が使われているんですよ！でもこれもすごく綺麗で…』

「そうなのかい。この万年筆もぜひ試してみてほしいなぁ。とても書き心地がいいんだよ」

『へぇ、そうなんですn___！？』
勢いよく店に誰か入ってきたと思ったら、母親だった。
自分の顔が青ざめていくのがわかる。
凄い顔でこちらを睨みつけている。
店内の時計を見ると、彼女が店の外に出てから15分が経過していた。忘れていた。母は極度のせっかちで短気だった。
楽しく語っている間に時間を忘れてしまったらしい。

『お、お、おじさん、今日はありがとう。良いことが聞けたわ。もう行かなくちゃ。』

「そうか、残念だ。こちらこそありがとなぁ、楽しかったぞ」
おじさんが遠くに行くのを見届けてから、恐る恐る振り向いた。もう駄目だ。

___________バチンッ

平手打ちが飛んできた。頬がビリビリする。

「っどれだけ私を待たせたか、わかっているのっ！？」

__________バチンッ

「それに、あろうことか、マグルとお喋りだなんてっ」
店の中だというのに、お構いなしに怒鳴り続ける。

__________バチンッ

涙が出てきた。店の中にいる人の視線が痛い。頬も痛い。
こういうのは、せめて家でやってほしいのに。
母親のこういうところが嫌いだ。

母親がもう一度叩こうとした時だった。