醜い天使【HP】 (ページ13)

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『それでも、ウィーズリー家の人達は純血よ。』

今すぐにでも殴ってやりたい気持ちを抑えながら言うが、そんな思いも虚しく、

「だってA、アイツらは“血を裏切る者”なのよ。純血の癖して、マグルがだーいすきなの。お忘れ？」

挑発的に気持ち悪い笑みを浮かべる母親。

その言葉に、遂に堪忍袋の尾が切れた。

どうにでもなれば良いとさえ思った。握りしめた拳に力がこもる。

『あのね、お母様。この際だから言うけど、私だって負けないぐらいマグルが大好きだわ。お父様もお母様も、分かってないのよ！マグルだって私たちと同じくらい、もしかしたらそれ以上に素晴らしいのよ！』

キッと両親を睨みつけた。

今までにここまで親に反抗したことはなかったから怖かったけど、それよりも自分の気持ちをありのままに伝えられたことでスッキリしていた。

こんな事を言ったら絶対に怒られるなんて分かりきったことだったけれど、それも覚悟の上だった。

しかし、父親が発した言葉は思っていたものとは違っていた。

「ウィーズリー家の奴らに洗脳でもされたのか？」と。

怒りが頂点まで達していたから正確には覚えていないけど。

すると、それに便乗するように母親も

「そうよ、そうに違いないわ。あぁ、可哀想に。私達の大切な娘にそんな事をするなんて、やっぱりウィーズリーは外道だわ。」

とヒステリー気味に言った。
同時にAの中に、この人達には何を言っても通じないんだろうな、なんて諦めの気持ちさえ出てきていた。

『貴方達は本当に私のこと分かってない！貴方達の方がよっぽど外道だよ！だから嫌いなのよっ！』

それだけ言い放ち、もらった梟もそのままにAは部屋に戻って行った。

扉を閉めると、押さえていた怒りや悲しみの気持ちが次々に湧き上がってきて気持ち悪い程だった。

『フレッド…ジョージ…』

無意識に彼らの名前を呼んでいた。

呼んだって来てくれるわけじゃないのに。

思い出してみれば、二人といると嫌でも笑えたし、何より気を楽にできた。
初対面であんなに気を許せたのは初めてかもしれない。

お母様に打たれたのを慰めてくれたフレッドの手は暖かかったなぁ。

つい昨日のことなのに、遠い昔のようで、考えれば考える程会いたくなった。

気がつけば、瞳からは涙が溢れてきていた。

『会いたいよぉ…』