醜い天使【HP】 (ページ1)

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『お母様！それじゃあ、それじゃあ本当なのね！私に万年筆を買ってくれるのね！』
「ええ、だから何度もそうだと言っているでしょう。その代わり、マグルの街へ行くのだから、くれぐれも服装には気をつけるのよ。」
今日五回目のその質問に、呆れたように母親が応えた。
Aはまるでそんなこと分からない、というかのように飛び跳ねては鼻歌を歌っていた。

何故このようなことになっているのか。
それはほんの数時間前の事だった。

『あーあー、マグルの街に行きたいなぁー。万年筆欲しいなぁー。』
Aは生粋の文房具オタクだ。羽根ペンなんか絶対一生のうちに使いきれないくらい集めていたし、マグルの考える便利な文房具もこっそり集めていた。
しかし、ラミレス家は純血の名家で、Aはその一人娘だったため、蝶よりも大切に扱われてきた。
つまり、マグルの街に出かける以前に、外出することすらなかなかさせて貰えなかったのだ。
おまけに両親は純血主義者だし。
その時だった。閉じていた窓からコンコンという小さな音がした。
『フクロウだ！でも、一体何を届けに来たんだろう?』と呟きながら窓を開けると、フクロウはAの机に手紙を落として、さっさと出ていってしまった。
その手紙を拾い上げ、中身を見たAの目は大きく見開かれた。喜びと驚きのあまり、何もないところで転びそうになった。
『ウワー、本物だ！私、私、ホグワーツに入学できるんだ!』
あまりにも騒ぎすぎたらしく、母親が勢い良く部屋の扉を開けて、
「うるさいわよA!一体どうしたっていうの?」と叫んだ。
『まぁお母様！ホグワーツから手紙が届いたのよ！私、晴れてホグワーツ生よ...!』
「A、本当なの?ああ、素晴らしいわ。よくやったわね。学用品を揃えに行かなくちゃ。お祝いに、何か一つ好きなものを買ってあげましょうね。」母親は機嫌をよくして言った。
それをきっかけに、Aは更に有頂天になって、先程の出来事に至る。

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設定
●A・ラミレス
少しだけ茶色がかった黒髪に碧目。
超がつくほどの文房具オタク