今世 五条悟(6) 蠱惑の微笑み ページ37
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『 やっと大人しくなったのね』
「???? 」
急速に高まる己の心音と自由の効かない己の体が不思議でしょうがない。
いつの間にか愛囁天女を包むようにして存在している羽衣はいつの日にか見た、月を背景に青銀の髪を靡かせる天女の絵を思い出させた。
『?…………もしかして…貴方のお名前聞かせてくれる?』
俺の顔を見てなにかに気づいたような表情をする天女。
心の内で広がる愛囁天女への不可思議な感情に反抗したくて抵抗するも、重くなる圧に耐えきれず言葉が口から出てしまった。
『 五条 ▅▅って言う呪術師は知ってるかしら? 』
____ドクンッ
また俺の心臓が大きく跳ねる。
『知ってるのね?…………良かった、彼を語り継いでくれる仲間がいて』
絶世の美貌、傾国の美女、浮世離れした天女と様々な言葉でその容姿を語られてきた愛囁天女。
そんなAのどこか感情を感じさせない瞳とちぐはぐな笑みを浮かべていた口許が一瞬崩れる。
崩れた先にあったのは彫刻の如き完成された美貌を嬉しげに緩めどこか人間味を感じさせる微笑みだった。
____ドクンッドクンッ
あの男を覚えていたことに感心したのかそれとも驚いたのか……天女の微笑みに魅入っていたのか。
さっきからうるさい心音がより明確に頭の中に響いた。
優しく触れるように頬を叩かれ曇天の意識から戻される。
『 それで?なんで殺したの?』
この言葉を最後に記憶が曖昧で何も覚えてないが天女に惑わされたことだけは理解出来た。
───
『 ごめんね、無理やり話させちゃって』
「………………は?待てよ……お前マジでチート過ぎだろ?」
何されたのか数秒理解できなかったわ。
まじで厄介過ぎんだろ。
「 俺から無理やり話し聞いた訳だし、俺の質問にももちろん答えてくれるんだよなあ?」
眉を八の字にして申し訳なさそうに笑う天女。
記憶が曖昧になる前の無機質な雰囲気とは一変した柔らかい雰囲気とその表情になんだか体がムズムズする。
「 ……一族?」
ああ、そっちの質問か。
と思ったがあの男との最期については聞いてなかったなと心の中で呟きながら重要そうなことを口走った天女にジト目を向ける。
すると天女は秘密と言いながら俺の口に指を当てて誤魔化し笑いをした。
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武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時