Repeat not end. 【千】 (ページ6)

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今生きていて、あの日よりも感動したことはきっとなかっただろう。

私の目の前でパフォーマンスを繰り広げるふたりに目を奪われて、だけどなぜだかぼんやりと視界に映る。はっきり見えるのは儚さのある銀色と可愛らしい癖のある黒髪だけだった。

「ゆ、き...さんっ...！」

そう、私の瞳に映る銀髪の人は紛れもないRe:valeのユキさんだ。けれどもその隣にいるのは凛とした藍色の彼ではなく初々しい、というか緊張している様子の黒髪の彼だ。
後ろから、隣から、前からひそひそと嫌でも小さな声が聞こえた。それはとても良いとは言えない言葉ばかりでまるで尖ったナイフだ。それでもステージ上の彼は明るく笑顔で踊って、私たちを楽しませようとしてくれて健気で心が締め付けられた。
ユキさんの隣で踊っている人はバンさん以外正直ありえない、って決めつけていた。だけど今笑顔を振りまいている彼ならきっとまた素敵で最高のRe:valeをユキさんと共に作ってくれる、なんて思ってしまう。
後ろから"ユキさんと組んだら売れると思ったんでしょ"という声が聞こえて思わず唇が開きそうになり慌てて噛む。それだけははっきりと否定できたんだ。
脳裏に私の隣りで号泣していた人が浮かぶ。私と同じRe:valeのライブで感動して、泣いてしまった一人の青年。再び彼をこんな形で見るなんて想像もしていなかった。
彼はRe:valeが大好きで私と同じで終わって欲しくなんてなかったから、そんな単純な、だけど強くて硬い理由で今ユキさんの隣にいるのだろう。

彼女らのいう理由ならばきっと彼は今ユキさんの隣にいないもの。

ユキさんとバンさんとの絆は深くて深くて、素晴らしいものだからユキさんはきっと簡単に相方を変えるなんてことをしないはずだ。
きっと彼の強い思いに負けて、きっと彼とならまた歌えると思って新しいRe:valeが私たちの前に、ステージにいるんだ。

「がんばって」

掠れた声はBGMに掻き消されていく。

だけど、ううん、気のせいかもしれないけれど。

彼のローズピンクの瞳と一瞬だけ目が合って、笑いかけてくれた気がした。