3-4 ふたりきり ページ43
『ヒソカの！』
Aはとっさに答えたが良い対応だったようだ。”あいつなら有り得るな”とかため息、舌打ちが聞こえた。
「あたしはマチ。あそこにいるのがフェイタン。あんたの名前、教えてくれない？」
正直なんで言いたくなかった。攻撃してきたフェイタンとかいうやつには特に教えたくない。
Aは、ふいっと顔をそらした。
さっき私を”無傷で”と聞こえた。なら攻撃はもうしてこないと思う。なら私は何もしなくてもいいはず。
しばらく何もしない時間が続くとフェイタンは外へ出ていった。”もう少ししたら行くね”と伝言を残していった。
Aはまだ歩けないだろう足に触れて考え始める。遠い場所を見つめるようにマチにぼんやりと視線を合わせた。
『マチさん』
「さん付けと敬語はやめて」
『え、あ、うん。聞きたい事があるんだけど』
「何？」
『ヒソカはあなた達のメンバーの1人とかなの？さっきフェイタンから”ワタシ達”って聞いたよ』
「今は知らなくていいよ。いずれ知ることになるから」
Aはマチの目を見て感情を読み取ろうとしたが、何も読み取れない。
「あたしは仲間が第一優先だけど、出来るだけあんたを助ける立場でいたいとも思っている」
いきなりマチが口を開いた。Aはその言葉に疑問を持った。何でそんな事言ったのかわからなかった。
「心残りがあるんだ。あんたを連れてきたのにも理由がある。後悔はしたくない」
ますますわからなくなったが、マチの強い意志のようなものは伝わってきた。
『そんな事言われたら、あなたが敵だとしても信じたくなっちゃうよ』
「それが狙い」
マチは微笑んだ。Aは初めて笑顔を見た。ツンとした雰囲気だったから余計に、その一瞬で印象が変わった。
Aも笑顔を見せた。
・ ｰ ✞✟ ｰ ・
「おーい、フィンクス。連絡あったか？」
「ああ、館の女は見つけたとよ。少し攻撃しちまったらしいがマチが治したって。フェイのやつイライラしてたぜ」
「なら心配はいらないな。大丈夫だよ」
「ああそれと、まだ時間あるから今は観光してるって。どうやらマチと仲良くなってるらしい」
「あはははっ……そうか。ならよかったよ。俺達もオークションまで時間あるし観光するか？」
「そうだな。団員分のお土産盗っていくか！」
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作者名：ザクロ | 作成日時：2022年3月31日 11時
