【H×H】目的は恋じゃない！ (ページ40)

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3-1 ピアス事件ページ40

『無理です！ちょ、本当に！』

「大丈夫！私ホチキスはやったことあるから」

『ホチキスとピアッサーは違うんですよ！』

逃げ回るAとピアッサーを手にして追いかけまわすネオン。

このやりとりの発端は少し前に遡る。

『ボス。これはどうやって付ければいいですか？』

新しい服に着替えた後、Aが見せたそれは、母から誕生日に貰ったピアスだった。

館に帰ったあと、笑顔でネオンはピアッサーを手にしてAに近づいた。そして冒頭へ戻る。

「じゃあ、こっちの針みたいなやつにする？」

『いや本当にむ……針？』

忘れてた！イルミに電話しないといけないんだった！

『ボス、仕事の用事を思い出しました。電話失礼します』

許可される前にAは電話を手に取り、2階へ上がる。

「誰誰？どんな人？教えてよ〜」

何故知りたいのか分からないが、ネオンがしつこく聞いてきて戸惑っていたAはとっさにこう答えた。

『ピアッサー名人です』

𖤣・𖤣・𖤣

『もしもし、ごめんね色々あって電話するの忘れてたよ』

＿＿別にボクが損する訳じゃないから。で、前金の支払いは？＿＿

『はい。できればもう少し待ってくれると……今仕事中で』

＿＿ああそう。ならいいやボクもこれから仕事あるから。終わったら直接払ってくれてもいいし、口座に振り込んでおいてくれてもいいよ＿＿

これからどうするかAが話そうとした時、後ろから誰かに話しかけられた。

「ねえあなたピアッサー名人さんなんでしょう？Aがピアス付けたいらしいの。今度手伝ってあげて」

『ボス、家の中で待っててくださいね。仕事の電話なんですから！』

携帯に向かって話すのはふざけて笑うネオンだった。その後ネオンは渋々館の中に入った。

＿＿あの子がキミのボス？ただの弱い女って感じするけど＿＿

『はい。あとさっきの話気にしないでいいから』

＿＿今度会ったときに開けてあげるよ。針をそういう目的で使ったことないから試してみようと思って＿＿

Aの頭の中に針を持ったイルミが浮かぶ。

『いや、結構ですから！』

＿＿遠慮しなくていいよ。じゃあまた今度＿＿

ぷつりと電話が切れる。

はい。これでイルミに会いたくない理由が出来ました。もう会わない。

こうしてAのピアス事件は一旦幕を閉じる。

『そういえばボス、もし私の外出時には代わりの者を呼びます』

”扉が5回ノックされたら安心して開けてください”とAが伝えたのと同時。扉が鳴った。