外伝:これからも、ずっと ページ41
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がさりと紙がしなる音がして、どこか丁重な仕草で箱を取り出す凛くん。
大小2つの箱を持って、両方開けて見せた。
「じゃーん。頑張る凛くん、誕生日おめでとう!
こっちはシューズバッグでしょ、あとはミサンガと…お菓子とか、色々!」
「……あげすぎだ馬鹿」
「やっぱり一つじゃ絞り切れなくて。でも、デザイン微妙だったら使わなくて大丈夫だから!」
ミサンガを手に取ってじっと見つめている。
暗がりでも分かるほどほんのり微笑んでくれているから、これは成功したんじゃないだろうか。
ふと凛くんが私を見上げて、「こっち来い」と手招きする。
何も考えずに側に寄れば珍しく凛くんが腰に抱き着いて私の胸元に顔を埋めた。
「えっ凛くんどうしたの!?」
「……誕生日だろ。今日くらい、甘えさせろ」
きゅ、と優しい腕が私の腰に回る。
さらさらの髪が私のすぐ目の下にあって、思わずそれを撫でつけたけど特に何も言われなかった。
「凛くんのこんな所、初めて見たかも。
毎日誕生日だったらいいのに」
「……誕生日じゃなくても、初めてくらいお前に全部くれてやる」
「凛くん?」
「強化選手に選ばれた」
「…っえ? 突然何の話?」
弱々しく私にフットボール連合のなんちゃらを語る凛くんによると、指定強化選手としてプロの道を目指せるらしい。
そしてつまりは、暫く会えないらしい。
「行く前に、お前に見せてない所全部曝け出すつもりでいた」
「んー、んん…。そんな事しなくても帰ってきた後にゆっくり見せてくれたらいいよ?」
「……お前分かってんのか。いつ戻って来れるかわかんねえんだぞ」
「でも凛くん、そう思ったから私の為に沢山悩んでくれたんだよね?
だったら私いくらでも待てるし、プレゼント丁度良いの渡せて良かった!」
「はァ……お前マジで……」
ため息を吐いた凛くんは徐に私の贈ったミサンガを手に付けて結ぶ。
「絶対だ」と彼は言った。
「俺はさっさと世界一になってクソ兄貴を超えてくるから、お前は何も変わらず俺の事だけ応援してろ」
「うん、わかった。待ってる」
実感が湧かないという事もあるけれど、寂しくなんかなかった。
凛くんは誰よりも努力家で天才だから、きっと私の想像しない凄い人になる。
でも凛くんが孤独にならないように私はいつまでも待ってる。
凛くんが凛くんである限り、これからもずっと、私は糸師凛くんを好きでい続けるのだ。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時