28:行きついた先は ページ28
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携帯を片手に驚いた表情で階段から顔を覗かせた凛くん。
私は銃口を突き付けられたかのように身が強張った。
何で凛くんが、ていうか何で戻ってきたの、帰ったんじゃないの、
頭の中でぐるぐると色んな情報が飛び交ってさらにパニックで額から変な汗が噴き出してくる。
誰も居ない廊下。静まり返る空間。
外のグラウンドで部活の声と、笛を鳴らす音が遠くで聞こえた瞬間、それは始まった。
「っえ、！？」
突然凛くんが携帯をポケットにしまい込んで私の方へ向かって走り出す。
一歩が段違いに速い。
分けも分からず、私は反対に駆け出した。
廊下をすぐに曲がって、階段を２段飛ばしで上がる。
最上階。私はあえて正門へ向かわず上を目指した。
３年生の階。模擬テストのおかげで誰も残っていない教室に慌てて入って、扉を閉めた。
「〜〜っはァ、は……ッ」
「……ッッ…」
僅か数秒後に、階段を上る音と、すぐ近くで凛くんの荒い息遣いが聞こえた。
あんなに離れていたのに、もうほんの一瞬で至近距離まで迫っていたんだ。
どくどく鳴る心臓と漏れる息を必死に抑えて息を殺す。
暫くすれば、凛くんの気配は無くなって、しんとした教室で耳鳴りがする。
「……――行った、…？」
運動音痴の私がこの１６年間の人生で一番走った瞬間が今だ。
まだ張り裂けそうなくらい暴れて痛い心臓を置き去りに、整わない息のまま教室から顔を覗かせる。
凛くんの姿はどこにも見当たらなかった。
どっと疲れが押し寄せて、凭れ掛かるように窓へ腕をついた。
3階からのグラウンドは、少し白んで綺麗だ。
息を整えながら、陸上部の姿を見下ろす。
完全に嫌われたかな、凛くんに。
変な意地張ってないでちゃんと話したらよかった。
でも、まだ決心がついてなかったんだもん。
そんな時に現れるんだから、凛くんも凛くんだ。
言い訳ばかり並べて、数分前の自分の行動に後悔ばかりが沸き上がる。
遠くの声にも負けるくらいのか細い声で、
「バカだな…私」と呟いた。
「――本当にな」
遠くの方に旅しかけていた意識が覚醒した。
幻聴にも聞こえた大好きな声で、俯いていた顔を上げる。
「……っへ、」
瞬間、後ろから長い腕が回ったかと思うと、力強く引き寄せられた。
窓に凭れ掛かっていた体は熱い胸に触れる。
目の前の窓がぴしゃん、と勢いよく閉められ。
窓ガラス越しに、今まで見た事無い顔の凛くんがいた。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう！ (7月21日 13時) (
レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです！夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって！これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます！原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー！！面白かったです！ (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます！大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます！ (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2023年3月27日 18時
