18:意気地なし ページ18
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アラームの音をしっかり2回聞いてぐったりと停止する。
全く寝れた気がしない。鏡を見ると若干隈ができていた。
あれもこれも全部凛くんのせいだ。
朝の準備をしながら携帯を開くと、LINEに1件通知が来ていた。
「びえっっ」
通知名、凛。
私の知り合いに凛なんて名前は紛れもなく一人しかいないし、人違いかと思ったけど無意識にトーク画面を開いてしまっていて、"凛"は私に向けて『寝坊すんなよ』と20分前に送っていた。
画面上の追加ボタンを押すか悩みに悩んで、結局誘惑に負けて追加ボタンを押す。
『何で連絡先知ってるの』と誤字が無いよう震える指で送信すると、ものの数秒で既読が付いて、『お前といつも居る奴に聞いた』と返事が来た。
「よっちゃん何で私の連絡先教えたの!」
「えだって潔が良いよっていうから」
「潔くん今関係なさすぎない?」
「何、俺の話してる?」
1限終わり、教室の外で話していた友達を追って抗議する。
廊下近くの席の潔くんがすぐ自分の名前が呼ばれている事に気付いて、彼もまた廊下に出てきた。
「私の連絡先は潔くんに委ねられてるの?」
「ごめんごめん、けどあの凛が誰かに連絡先聞いてるのとか珍しくて」
「だからって本人の同意なしに教えるのは違くない?」
「分かってやれよ、宇野。お前だって薄々感じてるんだろ」
優しいながらも、潔くんは壁に凭れ掛かって分析するように私を睨んだ。
「何が」と少し詰まりながら紡ぐ。
ふ、と笑った潔くんは、私のうなじに手を伸ばして、首筋にまとわりついた毛先を払った。
「髪の毛結んでんのも、誰かに可愛いって言われてーからじゃねーの?」
「べ、つに…暑いだけだもん」
「こら潔、あんまAに触んない方がいーよ」
まるで心の中を見透かされてるようで、また"誰か"を思い出して俯いた。
友達がため息をついて潔くんの手を払った。
その直後、ぐいっと髪の毛の付け根を引っ張られる。
俯いていた顔は強引に上げられ、同時に結んでいたヘアゴムの締め付けが無くなってばらばらと肩に髪が散らばる。
振り向けば、不機嫌そうな凛くんが私のシュシュを外していた。
何か言う前にそのまま奪い去ってしまう。
「あーあ、だから言ったじゃん」
「怖いなー凛は」
どうしても昨日の光景がフラッシュバックして、何も言えずまま顔に熱が集まるのを感じる。
二人は私に対して呆れたように笑っていた。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時