5.人か、鬼か ページ9
「____そうか分かった!!この口枷だな!この口枷のせいかもしれない!」
「行き止まり…?」
誰もいない町の路地に、炭治郎の威勢の良い声が響く。
着いてこいといった青年はそれを無視して、道の外れの方へ三人を連れて行った。
しかしどうしたものか、そこは行き止まりだ。
「これを外した禰豆子を…!一度見て貰いたい!!」
スッ
えっ?と声が揃い、三人は何の変哲もない板張りの壁を見つめる。
何故か青年が急に消えたのだ。
「早く来い、誰もいないうちに。」
水面から顔を出すかのように壁から出て来た青年がそう告げる。
梢たちが壁に恐る恐る手を当てると、不思議とすり抜ける事ができた。
現れたのは西洋風の大きな屋敷。目の様な紋様が描かれた札が貼ってある。それを囲むように桜が乱れ咲いている。
思わず驚愕の声が上がる。
青年は着いてくるように言うと、スタスタと灯りの付いた玄関口へ向かった。
「(高そうな壺…)」
長い廊下に飾られている壺や絵画を通り過ぎて、ある部屋の扉を青年が叩く。
「どうぞ。」
聞き覚えのある女性の声がすると、青年は失礼します、と扉を開ける。
薬品の匂いと埃ひとつ無い清潔な部屋。
そこは病室のようで、先程鬼に噛まれた女性がベッドに横たわっており、その手前の椅子に鬼の女性が座っていた。
「先程はお任せしてしまいすみません。その奥さんは…?」
炭治郎は真っ先にそう聞いた。
どうやら噛まれた女性は無事だそうだ。しかし、その主人は鬼となってしまったので地下室に拘束してあると言う。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時